TAMRON 77D 28-80㎜ F3.5-5.6
TAMRON 77D①
前回の続きで今回は実際に撮影テストしてみる。今回は遠・中距離、つまり風景撮影である。焦点距離の短い標準ズームのため遠距離と中距離は一緒にする。
今回問題になったのはやはり絞り値の問題である。マウントアダプターの関係で絞り値が不明なのだ。シャッター速度から絞り値を推測する事も考えたが、今回はマウントアダプターの絞りに入っているクリックを一段ずつ絞って記録していこうと思う。理由は面倒だったからだが、これでも絞りと画質の関係は充分に判ったのでこれを採用する。
今回は掲載画像が小さいが、これは等倍で見てもあまり意味は無いというか目的外のような気がしたから(^^; 適宜等倍画像も掲載する。なおコメントは等倍画像に付いて語っているものだ。掲載サイズでは恐らく判らない。
★28㎜
ワイド端の28㎜である。鏡胴はテレ端80㎜と同じ長さまで伸びるが大した事は無い。
=開放F3.5=
開放は少々解像度が低いね。コントラストは開放からほぼ全開なので余計に気になってしまう。もちろん28㎜という事を考えればこんなものかもしれないが。
=一段絞り=
まだ不充分ながら微妙に解像度が向上している。コントラストは全くと言って良いくらい変化は無い。
=二段絞り=
解像度が漸く使えるレベルに達してきた。
=三段絞り=
特に変化は見られない。あと絞っていくとかなりピントが移動する。AFしか想定されていないので仕方が無い。もう設計段階で「ピント移動は気にしない」って事になったのかな?
28㎜は開放から三段絞りまで画質の変化が殆ど無いと言える。変化の無いレンズはユーザーの夢・技術者の理想と言われてきたが、イザ実現してみるとサッパリ良いと感じないのは何故か?良いレンズの条件を備えていても個性が無くて面白くないという事だろう(^^;
★35㎜
あまり変化は無いが一応確認しておく。
=開放F3.5=
これも開放からコントラスト全開だ。流石に90年代のレンズと言えよう。ただ28㎜でも思ったが解像度は高くないというか低い。
=一段絞り=
絞っても特に何の変化も無い。ピントが移動したのが判るだけ(^^;
=二段絞り=
特に変化は無い。以下三段絞りは省略する。
★50㎜
丁度中間の50㎜である。この焦点距離の時に鏡胴が一番短く縮む。なので結構使い道のある焦点距離なのだ。
=開放F4.0=
ちょっとハロっぽいが。周辺まで流れも無く解像している。コントラストも問題無し。但し絶対値は高くない。
=一段絞り=
周辺のコントラストが開放の中央並みに向上した。中央は更に締まってきて文句無し。
=二段絞り=
周辺の画質はさらに向上したが中央部はもう上昇していない。これ以上絞っても無駄。
★70㎜
=開放F4.5=
微妙にハロがあるが問題にはならないか。これも開放からほぼ全開に近いコントラスト。
=一段絞り=
ハロが消えてほぼ最高画質に。
=二段絞り=
上がった気もするがこのサイズだと分らない。
★80㎜
テレ端の80㎜である。
=開放F5.6=
開放からいきなり全開だ。ハロはあるがコントラストは充分で解像力も問題無し。
=一段絞り=
ほやっとしていたのが締まってきた。
=二段絞り=
更に上昇。これが全画面に渡って最高画質だ。
これ以上絞ると逆に低下していく。このレンズは巷の評判がよろしくないのだが恐らく絞って使ったのではなかろうか(絞ると開放より悪くなるっぽい)。なんて早熟なレンズなんだ…。APS-Cだとやはり80mmが一番かなあ。
★次回に続く
開放からコントラストが全開に近く三段絞っても殆ど変化しなかった。これは完全補正または低収差レンズの特徴である。まさかこれほど初戦全開型だとは思わなかった。馬で言えば新馬をブッチギリで勝って2戦目からはずっと勝てなくて3歳で地方競馬へ転籍という早熟タイプだな(^^; もちろん絶対値は違うけど後のデジタルレンズに通じるものがある。変化が無く面白くないと言えば面白くない。