TAMRON CZ-715 70-150mm F3.8の分解


 実は以前から「バルサム貼ろうぜ!(仮題)」と云う記事を書いていたのだが、その記事で使うレンズを探している時にこのレンズに思い当たった。取りあえずバルサム剥がれのサンプル玉を取り出すべく分解したのだが…大きな勘違いをしていたのに気付いた(^^;


★現在の状況
 「南巡回[17/08/13]」にて入手したCZ-715である。ハッキリ言ってこれを買ったのは間違いだったと思うが、当時バルサム切れのサンプルが複数欲しかったので仕方が無い。


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 こんな感じなんだが。一見してバルサム切れに見える(が実は違った)。筆者はご存じの通り修理は面倒でやりたくない方である。がしかしどのような故障がどのような結果になるのか、またそれが修理可能なのかどうかには関心がある。このバルサム切れ?と思われる玉は絞りの前に有るらしい。


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 自動的に補正が掛かってもこの程度のコントラストしか無かった。こんな画像を見せられては修理しない訳にはいかない。それに一度バルサム修理をやってみたいのだ。一度やればもう二度とやりたくなくなるだろう(^^ 修理が趣味なんて奴の気が知れない。


★分解
 分解するにあたってインターネット上で検索してみたがCZ-715を分解した記事は無かった。似ているCZ-210(どう見ても Z-210だが)を分解した記事はあったが、面倒になったのか途中で断念しておりハッキリ言って全く参考にならなかった。そもそも人を頼ろうとした俺がバカだった。全て自力で分解してこそ価値があるのだ。どうせ大して難しくないのは分っているし。そこらのボケたオヤジだって分解しているのだからやれるはず。

 通常玉磨きと言うと前から銘板を外すか、後ろのマウントの方からカニ目などを開けるのが普通だ。がしかしこのレンズは前玉は恐ろしくキレイで出来れば触りたくない。そのため真ん中から分解するのだ。ズームレンズならそれは可能なんだな。


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 ピントリングのラバーを剥がしてみるとやはり登場したのがこの穴。このマイナスネジを抜くと恐らくピントリングがクルクル回って上に抜けるのだろう。単純だわな。筆者にとってはラバーを外す方が大変だった。何しろ40年物のゴムだから破れそうなんだよ。


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 予想通り抜けた。抜けた位置を記録しておかないと分らなくなるという話も何処かで聞いたが、このレンズの場合は一本道で間違えようが無かった。ちなみにこのレンズのヘリコイドは6ftの辺りで抜けた。これだと右の前玉ユニットに触れなくて済むので助かる。


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 どん詰まりやがな…(^^; カニ目を外していく?そんな事では多分到達しないよ。これはヘリコイドやズームのカムをバラさなければ前に進めないのだ。基本ネジを回すだけだから分解なんて大した事は無い。ただそのネジを回すのが大変なのだ。


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 横も見たけど分解に必要なネジは無さそうなので、やはりこのトップの三本のネジを外すしかないようだ。これは拭いた後だけどグリスまみれで投げ出したくなった。何度も書くが筆者はグリスが嫌いなのだ。


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 やはり抜けましたね。ズームの心臓部のカムがお出ましだ。ここもかなりヒドイ油まみれ状態だ。分解された痕跡は皆無なのでオリジナルが経年でこのようになったのだろう。何しろズームレンズは出現後間もない時期だったので、製品が30~40年後にどのように劣化していくかはメーカーも知らないのだ。


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 これです。これがこのレンズを分解する最大にして最初で最後の難関である。このカムの心棒と言うかネジを外すのが難しいのだ。まず合うドライバが無い(^^; 必死で探したが合うドライバが無かった。薄い上に幅広という特殊でそこらのホームセンターなどでは売っていないタイプだ。次に難しいのは鬼のようにネジロックされている事。初めて分解した46Aはこれでプラ部品を割ってしまったんだな。上の黒いネジに合うドライバは1時間近くかけて削って作ってやった。


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 取れた…これは上写真の上のカム、ズームの範囲を規定するカムの心棒である。これが中の中までネジロックされており、アルコールを付けたくらいでは溶けやしない。ちょっとなめてしまったが見える部分じゃないからイイだろう(^^セフセフ)。


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 これであとは残りのズームカムの2つのネジを取ればカムが上に抜ける。この2つのネジは割と大きめで楽だが油まみれなのとワッシャが入っているのがウザい。特にワッシャは組み立ての時に難儀する事が予想できる。


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 カムも抜けましたと。これも油まみれですごい。流れにくいグリスを使っているとは思うが、それでも40年の歳月はダテではない。こんなにブチまかれてしまうんだね。なお偏摩耗や乾燥している部分は全く無く、大切に使われていたであろう事が判る。

 ここで根元の3つのネジを外すのだが、何故かイモネジも3つついてるんだよなあ。これは今も判らない謎だ。ネジで止めてあるのにイモネジが要るのか?無駄だと思うけど無駄なモノは無いはずなので何かの役に立つのだろう。


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 やったー首が取れたぞ。これ以降はもう絞りと後群なので今日の所は用は無い。さてひっくり返して玉を見るぞ。


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 キター!バル切れだ。このように裏から見れば簡単に分解できるわけだ。イヤちょっと待て!これおかしいぞ。何か本当に濡れているように見える。これ汚れじゃないのか?ためしに拭いてみたら落ちてしまった(^^; これって油の蒸発した奴じゃないか。金属の削りカス?があったのに一緒に拭いた為にコーティングに傷が付いてしまった。拭かずに洗えばよかった…。


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 何だよクソが!組み立てるぞ。キレイになって前群の透明度が増したので修理完了じゃねえか。ちなみにこれが怪しいイモネジの穴。左右に見えるネジが定位置で止まるのでイモネジは調整には使えない。何のためのネジなのか解らん。カムの所のプラワッシャに注意して組み立てるが案外簡単でアッと言う間だった。理解しているとこれほど早いのか。


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 カムも付いたし、あとはヘリコイドを付けるだけだ。ここからはクソマッハで4、5分もあれば組み立てられる。


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 完成!動きも問題なく正常に組み立てられたようだ。明るくなったらピントのテストしてみるけど大丈夫だろう。


★テスト
 入手当初はバルサム(では無かったが)クモリのせいでコントラストが全く無かった。


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 一寸大きさが違っているがトレペ一枚消えたようにコントラストが付いた。実は掃除してから気づいたのだが後群にも同じような泡がウッスラ発生していた。重なっていたので見落としたのだろう。オレも目が悪いな…次回これを掃除してやろうと思う。


 バルサムのネタは無くなっちゃったけど使えるようになったのでまあ良しとするか。初めての時にブチ壊してからトラウマだったタムロンのカムも征服したし、それなりに気分が良い筆者だった。