最終回「さらばコムラノン怒りの爆死!」


 特に望んでいなかったレンズだが、まさかこんなに早くお亡くなりになるとは思わなかった。それはカビ玉を磨こうとしたことから始まる(前回記事)。

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 ところでコムラーのユニマウントとコムラノンマウントって互換性が無いんだね。何か色々な意味でこの会社イヤだなあ。


★中玉掃除
 実はこのレンズは真っ二つに割れるのだ。ちょうどカワノンがそうであったように。以前のコムラー時代は捩じっただけで分離できたのだが、このコムラノン時代はそんなに手軽ではない。「コムラーとコムラノンだから同じだろう」なんて考えて絶対に力一杯回さないようにしよう。壊れるよ。


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 ズームリングのゴムを剥がすと3本のネジが出て来る。それを外すと絞り前と絞り以降に分けられるのだ。これでカワノンと同じ設計者だという事がほぼ確定した。カワノンの時代にはコムラーは既に存在しなかったので、会社が倒産した折に社の人員が移籍したのではないだろうか。もしくはコムラノンはカワノンを製造した工場のOEMだったか。


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 こんな感じで分れる。中玉掃除は裏だけは楽々終わるのだ。


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 あれピントが抜けた(^^; 上手い具合に裏だけにカビがあったので楽勝で中玉掃除は終わった。

 で覗いてみたのだが、やっぱり前の方が汚すぎてカビ取りの効果は無かった。前も開けて前玉掃除をするしかないか。


★前玉掃除
 このレンズの前玉は当初からカビていたのだが、いつもは直ぐに掃除する筆者も手を出す気になれなかった。カニ目溝が小さくて引っかからないからだ。このレンズはリングが露出しているので傷だらけだとカッコ悪い。


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 仕方が無いので別のツールを出してきた。一体いくつあるのだろうか?(^^; このツールは設計がクソ(合わせるのが面倒、カニ目に誤差が出る)なので使っていなかったのだが、比較的簡単にビットが自作できるので手に入れたのだろう。


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 こんなに細いリングなのである。引っかかる所も小さくて滑りやすい。


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 前玉の次の玉は分厚い貼り合わせ。これにもカビが生えていた。


 次の穴あきのリングが回らなかった。渾身の力を込めてやっているうちに傷だらけになってヤル気が無くなってきた。

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 もうこんなになってしまったが、これは内部なので後でスポットすれば目立たない。実は金属枠にハマっているこの玉がクモリの元凶だ。

 このヒドク変質している中玉を洗ってみたが全くクモリは取れない。表面は何ともなくてどう見てもガラスの中がクモっているのだ。これって(そうは見えないけど)貼り合わせなんじゃないか?もう傷だらけなので構わないからこれを無理やり剥がしてやろうと思い立った。


★バルサム剥がし!だがしかし。
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 中玉のバルサムと言うかUV接着剤の貼り合わせが腐っているらしい。他人の記事でも中玉が腐っていたからこのレンズの持病なのだろう。何か間がカビたように花が咲いているのが気持ち悪い。絶対に剥がしてやろう。この際だから接着はしないでもいいや。


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 インターネット記事を真に受けて煮てみた。本当はアセトンでやりたかったが、手持ちが無いのと買う金がもったいないという両方の理由で手軽に済ませたのである。そしてこれがこの玉との最後の別れとなった。


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 水を捨てて引き揚げてみると…バキバキにヒビが入って割れているではないか(^^;


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 ダメだこりゃ。まあ考えてみればバルサムならまだしもUV接着剤がお湯で剥がれるわけは無いよな。バルサムは熱で溶けたり固まったりするわけだが、UV接着剤は紫外線で硬くなったらもう元には戻らないのだ。なので有機溶剤などしか効果は無いだろう。


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 しかし貼り合わせだからかバラバラにはならないのが不思議だ。見た目で2枚ではなく3枚貼り合わせに見えるのだが、望遠で3枚貼り合わせは見た事が無いから気のせいだろう。


★蘇るコムラノン…無理だった(^^;
 完璧にレンズとしての命脈を絶たれたコムラノンだが、このまま組み立ててみたいとは思わないか?オレは思うんだな(^^


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 でテスト撮影してみたが、割れていて性能が落ちているのか、組み立てが上手く行っていないのかピントは結ばなかった。覗いた感じでは収束していたので行けると思ったのだが。表裏を間違えた可能性もあるが、どちらにせよソフトフォーカスになるのは避けられないな。


★一巻の終わり
 「他人の言う事は素直に信じるな」と言う当たり前の事実を確認させられた。コムラノン(コムラーに非ず)がカワノンファミリーの前身であることが濃厚になってきたのも収穫か。次に手に入れる時は50円の時だけだが、構造は知り尽くしているし予備パーツもあるので思い切り行ってみたい。今日の教訓は「UV接着剤の貼り合わせは煮て剥がしてはいけない」だ(^^