CANON FD 100-200mm F5.6 S.C.


 New FDにもあったが、ジャンクで多く出回っているのは圧倒的に銀の締め付けリングでおなじみの旧FDの方である。1966年発売ののFL名義の奴と中身はほぼ同一だし、New FDも鏡胴を改良して小型軽量化しただけだろう。流石にEFの100-200㎜はF値が違うので再設計されたと思われる。それにしてもこのメーカーのこの焦点距離に対する熱意は異常とも思えるほどだ。


★概要
 このレンズは2017年現在どこのHOの青箱にも入っているメジャーレンズであるが、同時に全く売れないネコマタギレンズを代表するレンズでもある。普通に考えてみれば当たり前だわな。

①この高倍率時代に焦点距離が100~200㎜しか変化しない!
②それでいてMFとしては極度に暗い開放F5.6!ピント合わねえ。
③更に鬼畜な最短撮影距離2.5m!室内使用は無理。
④それでいてマクロ機能など一切無し!日常使用は無理。
⑤テレ側で繰り出すと矢鱈細長くて使いづらい形状!ブレまくり。
⑥ジャンクでは不人気の代表格であるFDマウント
⑦中古価格は他のレンズと変わらず決して安いわけではない

 現状これで人気が出る方が不思議だ。大体100-200mmなんて同じくネコマタギの70-210mmにも包含されるのでわざわざ選んで買うもんじゃない。70-210㎜ならF値だって安物でもF4.5はあるだろう。カメラメーカー純正品でなかったら新品だって売れないのではないだろうか。2倍でも50-100㎜だったら需要はあっただろう。ま、設計の難易度は100㎜以下の方が遥かに上になるわけだが。

 そんな訳でほぼ買う人は居ない不燃ゴミ扱いなのであるが、そんなレンズこそがこのネコマタギレンズ研究所の取り上げるべきfavoriteレンズである。新品定価や中古価格は決して安くは無いが、ジャンク価格であれば精々数百円とよい塩梅である(^^ そんな訳で荷物が少ない折にゲトしてきた(注)。

注:以前から買うつもりだったが、100円のは状態の良いのが皆無だったので選り好みしていた。大型で他の買い物がある時は持つのがイヤだったこともある。


normal
 棚で見ていて分っていたけど長い。同じFDに300㎜ F5.6と言うのがあるがアレと似ている。1966年当時ならズームとして普通だし、1970年代でも世間的にはほぼ問題なく許されただろう。もっともNew FD時代には誰にも見向きもされていなかったが。筆者は写真を始めた頃に大亀のワゴンに空しく放置された多数のNew FD版新品特価品(7~8割引き!)を見た事がある。


max
 がしかし。上の100㎜時の姿は仮の姿で200㎜の時に繰り出し、ついでに内蔵フードも伸ばすとこんな姿になる。流石にこれは…とドン引きされても致し方ない。ハッキリ言って400~500mmクラスだよこれは。

FD100-200mm F5.6
 これはモノコート版で1971年5月発売。66mm×174mmで820gである。HOでよく見かけるのはこれだね。銀の締め付けリングにFDらしさを感じてしまう。

FD100-200mm F5.6 S.C.
 上のレンズにスペクトラムコーティングを施したもの。1973年3月発売。66mm×173mmで765gと僅かに長さが縮まり軽量化されているのを知って驚いた。コーティング以外は全く同じだと思っていたので。これも非常に良く見かけるが、今回入手したのはこのバージョンである。

New FD100-200mm F5.6
 New FD版も同価格で売られていたので比較のためゲトしてきた。こちらは軽量化したものの外見が現代的で味わいが低い。筆者のA1・F1には良く似合っているけど。光学的には最少絞りがF32になっただけ。外観的には63mm×167mmで610gと大幅な小型軽量化が図られた。


filter5552
 New FD版はフィルター径も標準の52φになっている。しかし鬼畜な最短撮影距離2.5mは最後まで改善されなかった。最短撮影距離を短くするためには鏡胴の設計変更が必要だからだろう。近距離の画質についても見直さねばなるまい。New FD版の方は1979年6月発売。


 インターネット上では使っている人を殆ど発見できなかった。チマチマとそこら辺の花や猫を写している亀爺・亀オヤジが最短2.5mのレンズを使うわけは無いな。望遠では一般的な鳥の撮影には焦点距離が足りないし。作例を探したが皆無に等しかった。一応細々と使っている人は居たけど写真がちっさいサムネイル級だった。やはりHJCLでテストするしかない。


★状態
maedama
 前玉は全く傷が無く新品同様と言って良い状態。細かいホコリがあるがこれはジャンク店の棚の上でかぶったものだろう。何で前玉だけキレイかと言うと、そこらのビンボー人はプロテクトフィルターを使うからだ。レンズは後玉の方が重要なので前だけ保護してもしょうがない。それに玉に傷が無くてもカビが生えたらお終いだし。まあこのレンズに限れば後玉が天然フード状態なので前玉保護は正解と言えば正解だ。当該物件に関して言えばカビも全く生えてないのでそれなりに気を使って使われていたのだろう。キヤノンナンバーに拠れば1973年8月製造らしいので世代的に近親感はある(^^ 何にせよ44年前に生まれたレンズである。そこらの中年オヤジが生まれた頃のレンズなのだ。こうして現在も全く問題なく使用可能である事に感動する。金属+ガラスレンズはやっぱり最高だよ。


gomi1
 中の状況はこんな感じでジャンクレンズとしては普通である。大きめのゴミが二つ見えるが、これはジャンク在庫中に付着した表面のゴミだと思われる。このレンズは望遠レンズにありがちな後玉がかなり奥まった所にあるタイプで通常接触は無い。そのためジャンク箱で揉まれても傷が付いたりする心配は無いのだ。このメーカーの製品では心配されるクモリも今のところ気にならないしカビも無い。クモリに関しては精密検査をしないと分らないが。


gomi2
 後玉をブロワーで吹いてみた。予想通り大きい二つのゴミは消えてしまった。細かいホコリは残っているが特に問題は無いのでこのまま撮影してみよう。

 メカは今のところ問題無しだが直進ズームなので経年劣化がモロに出るタイプ。直進式はピントリングとズームリングが両方共にお亡くなりになる場合が多いのだ。それとズームはカムが減ってくると機械式のピント補正が効かなくなって来てズームではなくバリフォーカルのようになってしまう。このレンズは使用頻度が低かったのかメカの状態は新品と変わらないので力は出せそう。外見もHJCLが入手後に磨きまくってジャンクから中古美品くらいに昇格している(^^ 内蔵フードに傷が無い分、同時に入手したNew FD版より状態は上と言える。


★次回に続く
 実はこの記事は当該レンズを手に入れるだいぶ前から書き始めている。秋前には半分くらいは書いてあった(^^ ジャンク屋の棚を見ていて、いつかは絶対このレンズを手に入れる事になると信じていたからだ。念願が叶って?こうして記事が陽の目を見る事になった。めでたし^2