その後のズイコーとモリグリース(^^;


グリスの冒険(^^;
グリスの冒険(^^;;

 実験開始から既に半年が経過したがズイコーズーム残骸のヘリコイドに変化はあったのか?イヤ、欠伸が出るほど何にも無いですね(^^;


★現在の状況
zuiko_zangai180320
 前回塗り過ぎでハミ出したグリスを拭き取ってからは分離した油が再び浸出してくることは無くなったようだ。やはりアレは量と塗り方に問題があったのだろう。塗った時点で自分でも失敗したと思ったくらいなので。当のモリグリースが保存容器の中で数十年経った今も全く分離していないので大丈夫だと思うのだが引き続き経過観察は続けていく。保証期間という事で目安としては一年以上かな。この実験が上手く行ったら自分のレンズの中でジャンク出身の格下レンズをこのグリスでオーバーホールしたい希望がある。何しろ重さと感触がノーマルより断然良いので忘れられない。FL50㎜ F1.8のうちの1本がグリス切れなので餌食になる予感(^^; なお以前も書いたが筆者は慎重にして厳密なピント合わせを好んでおり軽いピントリングは殺意が湧くほど嫌いである。あまりに軽いAFのようなピントリングだと合わせた後に手を放した瞬間に微妙にズレる危険もあるからだ。新品の時にヘリコイドがクソ重いので有名なユピーチェル9ほど重くする必要はないがそれに近い重さが望ましい。


★気温について
 この時期、部屋の最低気温が普通に0~5℃、日によって氷点下になってきた。その条件で回してみたが、気のせいか稍重くなったようにも思える。もちろん堅くて回せないほどではないし、元と比べて気持ち重くなったか?という程度である。被験体はピントリングがツルツルの鏡胴なので正規のローレットやゴム巻きピントリングと比べ回しにくいという理由もある。実はまだ暑いうちに冷凍庫に入れていたこともあるので低温にはある程度自信がある。尤もこれらジャンクレンズを持って零度を下回る寒冷地に行くことは絶対に無いので温度を気にする必要は感じない。ネイチャー写真のプロではないのだから寒い時には写真を撮らなければいいのである。グリス自体の耐久温度は-25~400℃なので上の方は全く問題にはならない。事実、直射日光下に半日放置して60℃以上になっているが変化は無かった。第一そこまで熱したら貼り合わせのバルサムの方がよほどヤバい。グリスが熱に耐えられるか?という以前にレンズは熱してはいけないのだ。


★適用レンズ
 このモリグリースは純機械用なのでプラスチックを多用しているAF以降のレンズに使用できないのは既に確定している。AF時代に併売された末期のMFレンズもダメだろう。これらはヘリコイド自体に樹脂が用いられているものも多く劣化・破壊は免れられない。となると使えるのは80年頃までに生産されたMFレンズだけだろう。この時期ならばヘリコイドやその付近にプラスチックは使われていない。勿論レンズによってはヤバい事もあるだろうから、確実に安全なのは70年代以前の金属レンズだ。これは塗る時にバラすので確かめられよう。気になるのはズームカムのローラーだ。これはプラ製なので付着すれば劣化する可能性もある。尤もこのローラーは使用していればグリスに関係無しにいずれ摩耗損傷する所なのだが。言ってみれば消耗品と言えるのでグリス以上に定期交換しても良いくらいだ。ここはテフロンリング等でオイルレスにするのが良いと思うのだが。経験的には80年代より前のタモ論のローラーは耐久性が高いがΣや小村のローラーは質が良くない。瑞光はローラーが消失していた為に真鍮の軸が経年で摩耗しておりピント移動も大きくなっていただろう。他のメーカーはサンプルが少なすぎてよく判らないが似たり寄ったりだろう。


★レンズへのダメージ
 現時点でHJCLが一番気にしているのは感触でも耐久性でも拡散性でもない。最も重要視しているのはアルミ腐食性とガラスのクモリである。これに問題がある場合はヘリコイド=鏡胴自体がダメになるか、玉自体が使用不能になって再起不能になるからだ。玉のクモリは実際試さないと分らないがヘリコイドの腐食変質は判るはず。こうやって時間をかけて変化を観察しているのはそのためだ。尤もこの段階で恐らく安全なのではないか?と言う感触は得ている。そろそろこれを実際のレンズに塗って試す事になるだろう。もちろんこのズイコーの残骸もこれまで通り保存・使用(と言えるか?)していく。ほぼ剥き出しに近いズイコーのアルミ地金に変化が現れたら即座に本番レンズの方のグリスを完全除去すればいい。それで致命的な損傷は免れるはずだ。つまりこの残骸はマーカーまたはインジケーター代わりも務めているのだ。蒸発性は実際適用しないと判らないが、例えオイル蒸気が付着してもアルコールで即清掃すれば何とかなるハズ。現時点では特に蒸発しているようには見えない。蒸発に関連すると思うが塗り始めはグリス臭かったが現在は臭いは殆ど無い。塗った後で暫くヘリコイドだけ曝しておいたらいいのかな?軽いのが全部飛んだら残りはもう温めでもしない限り飛ばないだろう。タクマーのようにヘリコイドとレンズ鏡胴が完全に分離できるレンズは有利だ。放置期間は臭いが殆ど無くなる一週間以上~任意期間で、それで収まるなら特に面倒でもない。


★(永久に?)続く
 たとえ一年以上の時間をかけても、これ(モリグリース)が使える事が判ったらリターンは大きい。恐らく使用量から言って今後ヘリコイドグリスを買う必要は一切無くなるからだ。加えて筆者にとってはベストバランスのヘリコイドの重さになる。何とか上手く行って欲しい。このままズイコーヘリコイドに変化が無ければ、次回モリグリースが登場するのは本番のグリス入れ替え記事となるであろう。Σズームβの運命危うし!レンズは戦慄でガクブル、当方は期待でワクワク(^^