写真特有の表現であるボケが昔から嫌いだったのだが、最近はジジイ化して頭がボケてきたのかボケが嫌いではなくなってきた。と言うより積極的にボカすことも増えた。これはデジタルになって望遠レンズを使うようになって、嫌でもボケと友達にならなくてはいけなくなったというのが大きいかもしれない。まあそんな事はどうでも良い。

 問題は最近は暗いズームレンズばかりな上にフォーマットがAPS-Cや4/3なので35㎜フルサイズ大口径単焦点時代と比べるとあまりボケないという事だ。ズームレンズのF3.5~F4クラスの開放でどうやったら大口径単焦点のようにボケるのか?曲がりなりにもレンズ研究のサイトなのでデジタルインチキはこの際考えない(^^ 効果があるのは「長焦点>接近>大口径絞り>背景を離す」くらいか。実際の撮影で背景を移動させるのは無理だろうが、ある程度の長玉を使って近くに寄れば大口径でなくともボケるわけだ。実際ボケ量を増やす方がピントの合う範囲を深くするよりはるかに簡単だろう。


1_st5518
 当方の希望を言わせてもらえばこんな感じにしたいんだよなあ。これは皆様超お馴染みのST5518の開放撮影だがやはり大口径のボケはハンパない。撮影距離は50㎝くらい。実際はボケ量だけでなく球面収差の量(ピント位置)も問題となるのだが今回は問題を単純化するために考えない。

 有効口径から言えば105㎜ F3.5、或いは120㎜ F4のレンズで同様のボケとなる。このように計算上はズームレンズでも思ったより簡単に実現できるのだが、55㎜と105~120㎜との画角の違いと撮影距離の違いがあるのでそう簡単でもない。画角が狭くて被写体がフレームアウトしたり、それ以前に長玉は近づけない場合も多いからだ。


2_cz715_150
 まずはズームレンズ単体で試す。おなじみCZ-715だがこのレンズはマクロ機能が無いのを忘れてた(^^; これは150㎜開放だが1.5mとかなり離れたのであまりボケない上に被写体が小さくなってしまった。上で書いたボケる条件の内「接近する」と言う条件が足りない訳だ。


3_cz715cl_150
 もしレンズにマクロ機能があるなら楽でいいが無ければプロクサーを使う。これは同じく150㎜だがボケ量は55㎜ F1.8を軽く上回る。ボケ量だけ考えるなら計算上50㎜のF1.4を上回りF1.2に迫るので覚えておいて損はない。


4_cz715cl_120
 120㎜まで引いてみる。これで55㎜ F1.8と同等か?微妙にこちらの方がボケている気もするが気のせいレベル。違うのはピントの合った部分の描写である。ST5518の方がピントの深度が明らかに浅くなっている。また画質はCZ-715の100~120㎜の方が良い。


5_cz715cl_100
 100㎜だと背景が稍うるさくなってくる。この中では開放画質は一番だね(^^ この画質とボケは使ってみたいという気にさせる。55㎜だとF2くらいか。


6_cz715cl_085
 85㎜だとこのようにボケが不足してくる。背景はモノの形が明らかに分ってしまうので充分に配慮する必要が出て来る。55㎜だとF2.8くらいか。


7_cz715cl_070
 ついでなので70㎜だ。これはもうボケ量と言う観点から見れば問題外だが。55㎜だとF3.5程度か。


 という事でST5518開放と同等のボケが得られるのはF3.5~F4クラスでは100~120㎜であり、ほぼ机上の計算通りだったので安心した。APS-Cや4/3で安い暗めのズームレンズでもソコソコ長玉なら大口径50~55㎜と同等以上にボケるのだ。ただピントが合った部分の描写は同等とは言えないので注意が必要だ。この辺りはレンズの個性が出る部分だから。

 逆から言うと55㎜はF2.8より開けて使いたいと思った。F4まで絞るとF5.6の80㎜ズームにボケ量で負けてしまうのでね。標準ズームのテレ端だって使用法によっては侮れないのが判る。