ネコマタギ★レンズ研究所

ジャンク屋の箱の中で引き取り手が無いレンズを好んで研究するブログである。

修理・改造

SIGMA APO ZOOM 75-300mm

SIGMA APO ZOOM 75-300mm F4.5-5.6死亡(^^;


 AFズームレンズばかり扱っているとMFも扱いたくなってくる。MFレンズはバラせるところが良い。勿論AFでもバラせる事はバラせるけど、バラしても完全ユニット化されていて調整するところも無いから面白くも何ともない。やはりバラして遊ぶならMF前期~中期までで、後期はAFと同じくユニット化されているのでダメ。そんな訳でMFズームをバラしたらまた失敗してぶち壊してしまった。正確に言うと途中で失敗したので破棄決定したという…。

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 2017/06/25に入手したレンズである。300円でAPOレンズを入手して喜んだのもつかの間、致命的なクモリが発生していて使用不能だった(いわゆるヌカ喜び)。その後100円や50円でAPOを手に入れたので当初の喜びはどこかに消し飛び、あとには深い(不快)後悔だけが残った(^^; ダジャレている場合じゃない。


★絵にかいたような完璧なクモリ玉
 このレンズは入手当時から絵に描いたようなクモリが発生している。ここで言うクモリとは汚れの事ではない(HJCL用語についてはこちらを参照の事)。ガラスの変質に因る清掃では解決できない障害である。以前の記事で言えば"Zuiko100-200mm"の外れなくなった中玉がこれに当たる。これの中玉も表面が磨りガラスのようになってしまっていた。また40Aの中玉も同じようにクモっている。瑞光100-200のと働きが同じレンズなので恐らく同種のガラスと思われる。

 なぜこのようになるのかは今のところよく判っていないが、特定のガラス品種だけがクモるのは間違いない。何故ならクモって見えないガラスと同環境の隣に全く透明なガラスもあるからで、これにより全ての光学ガラスで一律に発生するわけではないのが判る。もちろんコーティングとも関連する可能性はあるが。


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 御覧のように透明度が下がって後処理でも救いようが無いくらいコントラストが低下する。ホワイトバランスが誤爆するのか色も滅茶苦茶になる。デジタル写真であってもこれはNGだろう。今回はこれがハードウェア的に救済できるかどうか、クモリ玉を実際に取り出して検査してみたい。大方の予想では本物のクモリ玉で直らないと思うが、どの位置の玉がどのように変化しているのか確認するだけでもそれなりに意義はある。


★バラす
 シグマのレンズをバラすのは2回目である。初めてバラしたZOOM-βはちょっと古い製品なので、構造その他は時代と共に変化している可能性が高い。前玉はHJCLで一度外しているのでソコソコ楽だが、他部分は全くバラされていないのでネジが固いだろうな。これはもうエタノール必須である。


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 ズームレンズを分解するのはグリップのゴムを外すのが基本。これはテープで留めてあるタイプなのでそれも剥がす。テープの再使用はできない。


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 上のリングが外れた。


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 次にヘリコイド枠を抜く。


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 ここからが面倒∧難易度が上がってくる。傷を付けずにネジを回すのが非常に困難なのだ。

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 もちろん注射器が活躍する。


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 カムのローラーを外すと中玉ユニットが取り出せる。


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 このストッパーのネジもネジロックで固めてあるのでアルコールが必要。


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 ありゃ?これで終わりだ。スッカリ停滞してしまった。しかしこれで解ったが、クモリ玉はどうやら絞り直後の玉のようだ。


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 やはり嫌いなマウント部を分解しなくてはいけないようだ。ただこの時期のレンズメーカー製はマウントはユニット化されているので割とスッポリ取れるのはトキナーで経験済み。


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 ほらな。マウント移植ももしかしたら可能かもしれないな。


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 黒いカバーが付いていて回せない。マウント枠の3本のネジを外さなくては…。


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 2本は楽に取れたが何故か3本目でやってしまった。ネジを舐めてしまったのだ。更にそのリカバリーが悪くて完全に回らなくなってしまった。これはもう捨てるしかない。だがしかし、同じ捨てるにしてもバラしだけは最後までやるぞ。ネジなどドリルでブチ壊せばいい。


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 御覧のようにドリルでネジ穴に穴を開けた。もっと細いのでやりたかったが無かったので残念でした。


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 ネジを残してカッポリ外れた。アタマの無いネジが必死に頑張ってへばり付いているがもう外れているのでどうしようもない。バカめ。


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 アホなネジも除去。普通の人ならこれで復活させるのだろうが、筆者はドリルで穴開けた光学製品などは使いたくないので金属ゴミ決定です。


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 更にバラしてバラバラになった。兵どもが夢の後と言う感じですね。バラし自体は罠も無く極めて平易だと思う…が何故かそんなレンズに限って壊してしまったりする。


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 これが絞りと中玉ユニット。


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 これが入っていた玉だが…前玉と絞り直後の玉が低分散ガラスだと思われる。完全にクモっているが触媒はグリスや有機溶剤っぽい。前玉はアルコールによるものだと思う。


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 多分これが低分散ガラス。磨いてみたが勿論全く取れる気配も無い。完全なガラスの変質である。コーティングも取れてしまったのか殆ど見られない。何か色々な意味で触りたくないガラスである。


★終わり
 クモリが無ければいいレンズっぽかったので残念でした。300㎜のAPOは他に無かっただけに戦力的な損失は大きい(注)。だがしかし、ギリシア文字時代のΣレンズをバラすノウハウを手に入れたので良しとするか。そのうちこの時期のを色々バラさねばならないだろうから。

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 まあ死んだと言ってもこの低分散ガラスが再起不能なまでにクモっているので遅かれ早かれ破棄されただろう。一年経って漸く踏ん切りを付けるいい機会になったと言えない事も無い。明日は月一の金属ゴミの日なんでね…(^^;

注:その後すぐにこのレンズのAF版をゲットした。使えねーニコポンマウントなのが難点だが。あとやっぱりクモっている模様(^^;


Σズームカッパー②

SIGMA ZOOM-κ 100-200mm F4.5


Σズームカッパー①

 前回の続き。今日はバラしてクモリ玉を取り出す予定。玉が磨ければ磨き、無理そうなら諦めて元に戻すだけだ。全バラではないので元に戻せるだろう(^^


★バラす
 ズームレンズをバラすのはレンズマニアにとってはご法度である。ズームレンズは一度バラすと元と同じに組み立てても完全に元通りになるわけではない。何故ならリングネジの締め付けトルクやカムの微妙な位置によって調整がズレて来るからだ。カムの経年摩耗でピント補正も変わって来るから性能が元とは全然違ったものとなる。これまでに見てきた素人修理で元通りに組み立てたモノは一杯見たけど全て調整はメチャ狂いだった。組み立てたあとでピントの移動がAFレンズ並みに大きかったらまず失敗だ。補正されていないという事だから。

 逆に自分でバラした時に何かの拍子に奇跡的に?調整が上手く行って、メーカー出荷時を越えるのではないかというスゴイ性能が(一部で)出る事もある。これはもう一度味わうと麻薬みたいなもので、それを見たさに分解していると言っても良いくらいだ。調子こいて所有レンズを全部バラしてしまわないように「バラしていいのは不具合のあるレンズだけ」というHJCLの掟を作って抑止しているわけ(^^

 閑話休題、前玉はクモっていないのでバラす必要はない。よって銘板リングを回す必要はない(尤もこのレンズに銘板は無いが玉止めのリングはある)。今回用があるのは中玉なので途中から分解する。


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 分解の方法が判らないのでまずローラーのネジを外してみた。前後に1本ずつ、計2本である。するとヘリコイド枠が回って取り外せるのかと思ったがハズレた(^^; このネジは関係無い。外さなくてもいいのかな。


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 実はこの穴から見えるネジを外すのだった。しかしそれにはピント表示位置調節ネジを緩めるか外さねばならない。ネジの頭が完全に露出しないからだ。前後2つ、合計4つのネジを緩めるか外す。その後頭が出たネジを外せばヘリコイド枠が外れる。

 このレンズは鏡胴の細身なところとか、直進ズームだけどヘリコイドとズームリングが二重になるところとかが瑞光に似ている気がする。尤もこのレンズはヘリコイドのガイド枠が直線で、瑞光は斜めに回転しながら進むから全く同じ機構と言うワケではない。


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 そのすぐ下がクモっている玉である。このメーカーはこの時期ネジロックが厳しかったのでこのネジもなかなか回らないかと思ったが非常に緩かった。何となく誰かがバラした気もするが跡は全く分らない。4つ穴なのはそういう治具があるんだろうな。4つ穴だとバランスが取れるので治具に取り付けてそのまま回せる。


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 外した玉はまず中性洗剤で洗う。汚れだとすれば油分なのでこれで取れなければガラスの変質による正式な?クモリであり復活は不可能に近い。酸化セリウムで磨けば取れるかもしれないが、その場合はコーティングも無くなりΣズームκではなくなるので意味が無い。我々はどんなものでも良いからジャンクを復活させたいわけではない。あくまでもΣズームκを復活させて使いたいのだ。


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 だいぶクモリ濃度は下がったが、やはりガラス表面が変質しているのかある程度までしか改善しなかった。もっとも分解以前は向こうが見えないくらいだったのでこれでも充分だ。瑞光100200の似た形状の中玉が全く同じようにクモっていたがアレと同じガラス構成なのだろう。変質の触媒としてはグリスの中の成分だと思われる。貼り合わせ部分のクモリという事も考えられるが、それはいずれ瑞光の玉を剥がして確認してみたい。


★その他
 フードが汚れていたので外して洗った。勿論洗う前に反射防止布をクリーニングしてからだ。これにより反射はともかく見栄えは非常に良くなった。ジャンクではなくいつも使っているレンズに見える(^^


★続く
 クモリはあまりスカッと無くならなかったが、現状は覗いた時にコントラストが低いと感じる程度だ。それではダメだと思うかもしれないけれど、クモリ取りをする前は向こうがよく見えないくらいだったのだ。なのでこれでも改善していると思う。次回はこの稍クモリ取りバージョンをテストしてみたい。どのくらい違いが出るか楽しみ。

ジャンクレンズ復活

 MFジャンクレンズの復活の為にはまず部品の欠品がないことが重要だ。もちろん当該レンズの正常品や部品取り用を所有していればこの限りではない。欠品を自分でマネしてこさえるなり流用できたりするからだ。部品に欠品が無ければ、あとの不具合は大きく分けて玉かメカである。このブログの用語についてはHJCL用語辞典を参照のこと。


★玉の傷
 玉の不具合とはもちろん汚れ・カビ・キズ・クモリである。玉はバラして取り出すしかないのである程度構造を知っていなくてはいけない。取り出せればあとは洗浄するだけだが、特にカビは中性洗剤で洗うのが一番だ。カビは無水アルコールではカビの被膜が破壊できないので取れない。油系汚れはアルコール類で拭くしかない。コーティングは傷みやすいので拭くときは注意した方が良い。特に通常のハードコートの他にソフトコートと言うものがあり拭いただけで消滅してしまう。何でもかんでも磨けばいいというものではない。少々の汚れは気にしない事である。

 スポット傷は撮影にほぼ影響はないので気にする必要はない。それを消すためにワザワザ磨くとコーティングが全部落ちて結果は逆に悪くなる。酸やアルカリは同じくコーティングを破壊するのでダメ。貴重なレンズにはカビキラーは止めておいた方が良い。ガラスのクモリはガラスそのものの変質だと取れないが、表面を拭くと取れるクモリも多い。HJCLの定義では拭いて取れるのは汚れとしている。ガラスそのものの変質であっても酸化セリウムで磨くとマシになる場合もある。八方手を尽くした後に捨てるつもりで最後の手段として試すのも良かろう。当然もう後戻りはできないしコーティングが無くなるのでオリジナルよりは悪化する。そもそも微妙ではあるがレンズの曲率が変わってしまうので、ある程度削ったらレンズとして成立しなくなる。


★機構部分
 メカはヘリコイドやズームリングを回してみれば症状がハッキリするので直すのは容易だ。大きく分けれればパーツの曲り・摩耗、ヘリコイドグリスなどの油切れ、逆に絞りへの油回りである。摩耗はどうしようもないが曲りはほぼ修正できるし、油系は注す油を間違えなければ何とかなるだろう。バネが弱ったり破損しているのもある。これは類似品に交換すれば全く問題無し。あとはバラした後の無限遠の調整を間違わなければOK。望遠レンズ、特に200㎜位のレンズだと400~500m程度では無限にはならない。望遠レンズの無限遠調整には月が一番だ。この際ジャンクカメラを調整に使わない事。中華安物マウントアダプターも狂っているのでダメ。カメラとレンズが両方狂っていたら調整もへったくれも無い。一台くらいは「本当に無限が出ている調整用カメラ」としてメーカーでメンテしてもらった方が良い。スクリューマウントはオーバーインフ気味の調整を行った方が良いかもしれない。締めこみ次第で微妙に変わる。

 AFレンズだとフォーカスブラシ調整やMR波形検査・オフセット調整で復活する場合もある。以前に誰かがバラしてなければ劣化する所は決まっている。HJCLのSIGMA ZOOM 28-80㎜ F3.5-5.6 MACROは入手当時は単焦点側でチャタリングが発生していたが復活した。

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 これまでにHJCLで分解した中で最も成功したCZ-715。いつもこう行けばいいのだが、ズームレンズはバラすと高確率で元より悪くなる。今のところ良くなったのは50%くらいしかない。


★ジャンク評価
 HJCLの現在のジャンクレンズ評価基準は以下の通り。何故「現在の」と強調するかと言うと、気になる項目は興味の変化と共に変わっていくからだ。DSLRを手にしてから一度も気にした事が無いのは色だけかな。仕事用のレンズは別に所有していたから、それ以外のレンズは出てきた色で「こういうレンズなのだろう」で納得するのだ。デジタルだとどんな色でも出せるから、筆者の撮った画像を見て「このレンズってこんな色なんですか?!」などと言われると困惑します(^^;

=常に気になる=
・ピントの善し悪し(解像度・コントラスト・滲み)
・35mmフルサイズ時の四隅の流れ
・ボケ(非点収差・口径蝕)
・逆光耐性(フレアーに因るコントラストのみ)
・歪曲収差(絶対値に非ず・形重視)
・価格(^^

=チェックはするが特に気にしない=
・色(発色・カラーバランス共)
・周辺光量
・逆光耐性(レンズゴースト)
・大きさ・重さ
・ブランド(^^

=チェックポイント=
(0)本体の外観、傷・汚れ
(1)レンズ前玉の状態(傷・汚れ・クモリ)
(2)レンズ中玉の状態(傷・汚れ・クモリ)
(3)レンズ後玉の状態(傷・汚れ・クモリ)
(4)ズームリングの作動状態
(5)フォーカスリングの作動状態
(6)絞りの状態・作動(錆・油回り・自動)
(7)絞りリングの作動状態(硬さ・ガタ)
(8)マウントの状態(摩耗・変形)
(9)全体の緩み・振った時のガタなど
(A)∞が出るかどうか?

 そう言えばpentaxforums.comでレンズ評価の項目に" Bokeh"があったのでちょっと感動した。外国には他に表現する言葉が無かったのだろうか。よかった、海外で知られている日本語はhentai用語だけじゃないんだね(^^

グリスの冒険(^^;;;

その後のズイコーとモリグリース(^^;


グリスの冒険(^^;
グリスの冒険(^^;;

 実験開始から既に半年が経過したがズイコーズーム残骸のヘリコイドに変化はあったのか?イヤ、欠伸が出るほど何にも無いですね(^^;


★現在の状況
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 前回塗り過ぎでハミ出したグリスを拭き取ってからは分離した油が再び浸出してくることは無くなったようだ。やはりアレは量と塗り方に問題があったのだろう。塗った時点で自分でも失敗したと思ったくらいなので。当のモリグリースが保存容器の中で数十年経った今も全く分離していないので大丈夫だと思うのだが引き続き経過観察は続けていく。保証期間という事で目安としては一年以上かな。この実験が上手く行ったら自分のレンズの中でジャンク出身の格下レンズをこのグリスでオーバーホールしたい希望がある。何しろ重さと感触がノーマルより断然良いので忘れられない。FL50㎜ F1.8のうちの1本がグリス切れなので餌食になる予感(^^; なお以前も書いたが筆者は慎重にして厳密なピント合わせを好んでおり軽いピントリングは殺意が湧くほど嫌いである。あまりに軽いAFのようなピントリングだと合わせた後に手を放した瞬間に微妙にズレる危険もあるからだ。新品の時にヘリコイドがクソ重いので有名なユピーチェル9ほど重くする必要はないがそれに近い重さが望ましい。


★気温について
 この時期、部屋の最低気温が普通に0~5℃、日によって氷点下になってきた。その条件で回してみたが、気のせいか稍重くなったようにも思える。もちろん堅くて回せないほどではないし、元と比べて気持ち重くなったか?という程度である。被験体はピントリングがツルツルの鏡胴なので正規のローレットやゴム巻きピントリングと比べ回しにくいという理由もある。実はまだ暑いうちに冷凍庫に入れていたこともあるので低温にはある程度自信がある。尤もこれらジャンクレンズを持って零度を下回る寒冷地に行くことは絶対に無いので温度を気にする必要は感じない。ネイチャー写真のプロではないのだから寒い時には写真を撮らなければいいのである。グリス自体の耐久温度は-25~400℃なので上の方は全く問題にはならない。事実、直射日光下に半日放置して60℃以上になっているが変化は無かった。第一そこまで熱したら貼り合わせのバルサムの方がよほどヤバい。グリスが熱に耐えられるか?という以前にレンズは熱してはいけないのだ。


★適用レンズ
 このモリグリースは純機械用なのでプラスチックを多用しているAF以降のレンズに使用できないのは既に確定している。AF時代に併売された末期のMFレンズもダメだろう。これらはヘリコイド自体に樹脂が用いられているものも多く劣化・破壊は免れられない。となると使えるのは80年頃までに生産されたMFレンズだけだろう。この時期ならばヘリコイドやその付近にプラスチックは使われていない。勿論レンズによってはヤバい事もあるだろうから、確実に安全なのは70年代以前の金属レンズだ。これは塗る時にバラすので確かめられよう。気になるのはズームカムのローラーだ。これはプラ製なので付着すれば劣化する可能性もある。尤もこのローラーは使用していればグリスに関係無しにいずれ摩耗損傷する所なのだが。言ってみれば消耗品と言えるのでグリス以上に定期交換しても良いくらいだ。ここはテフロンリング等でオイルレスにするのが良いと思うのだが。経験的には80年代より前のタモ論のローラーは耐久性が高いがΣや小村のローラーは質が良くない。瑞光はローラーが消失していた為に真鍮の軸が経年で摩耗しておりピント移動も大きくなっていただろう。他のメーカーはサンプルが少なすぎてよく判らないが似たり寄ったりだろう。


★レンズへのダメージ
 現時点でHJCLが一番気にしているのは感触でも耐久性でも拡散性でもない。最も重要視しているのはアルミ腐食性とガラスのクモリである。これに問題がある場合はヘリコイド=鏡胴自体がダメになるか、玉自体が使用不能になって再起不能になるからだ。玉のクモリは実際試さないと分らないがヘリコイドの腐食変質は判るはず。こうやって時間をかけて変化を観察しているのはそのためだ。尤もこの段階で恐らく安全なのではないか?と言う感触は得ている。そろそろこれを実際のレンズに塗って試す事になるだろう。もちろんこのズイコーの残骸もこれまで通り保存・使用(と言えるか?)していく。ほぼ剥き出しに近いズイコーのアルミ地金に変化が現れたら即座に本番レンズの方のグリスを完全除去すればいい。それで致命的な損傷は免れるはずだ。つまりこの残骸はマーカーまたはインジケーター代わりも務めているのだ。蒸発性は実際適用しないと判らないが、例えオイル蒸気が付着してもアルコールで即清掃すれば何とかなるハズ。現時点では特に蒸発しているようには見えない。蒸発に関連すると思うが塗り始めはグリス臭かったが現在は臭いは殆ど無い。塗った後で暫くヘリコイドだけ曝しておいたらいいのかな?軽いのが全部飛んだら残りはもう温めでもしない限り飛ばないだろう。タクマーのようにヘリコイドとレンズ鏡胴が完全に分離できるレンズは有利だ。放置期間は臭いが殆ど無くなる一週間以上~任意期間で、それで収まるなら特に面倒でもない。


★(永久に?)続く
 たとえ一年以上の時間をかけても、これ(モリグリース)が使える事が判ったらリターンは大きい。恐らく使用量から言って今後ヘリコイドグリスを買う必要は一切無くなるからだ。加えて筆者にとってはベストバランスのヘリコイドの重さになる。何とか上手く行って欲しい。このままズイコーヘリコイドに変化が無ければ、次回モリグリースが登場するのは本番のグリス入れ替え記事となるであろう。Σズームβの運命危うし!レンズは戦慄でガクブル、当方は期待でワクワク(^^

CANON LENS 38㎜ F2.8

キヤノン オートボーイ2のレンズを取り出す


 ジャンクカメラ不幸箱に入っていたオートボーイ2は、入っていたフィルムコンパクトカメラの中で唯一動かなかったカメラである。不動品を持っていても仕方が無いのでバラしてレンズを取り出し、レンズ以外は小型家電の日にゴミとして捨てる事にした。プラスチックの全自動コンパクトカメラをバラすのは生まれて初めてなのでワクワクするね。


★キヤノン オートボーイ2 AF35MII
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 これがオートボーイ2QDである。ジャンクカメラ不幸箱にも入っていた初代オートボーイは大ヒットしたが、この後継機も勿論ヒットした。下に敷いてあるのは何故か持っていたオートボーイ2の単独カタログである(石坂浩二の奴ね)。レンズのシャッターが半開きになっている所で不動なのは薄々想像が付いていた。アルカリ乾電池を入れたが予想通り全くウンともスンとも言わなかった。死んでますねこれは。どうせならカッコ悪い初代よりこの2が動いて欲しかったが仕方が無い。ゴミだ。


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 仕方なく裏蓋を開けたらフィルムが出てきやがったんだな(^^; 前オーナーは全く動かなくなったのでどうしていいか分らず放置していたのだろう。で、フィルムが入っているのを忘れてゴミに出してしまったと。こういう時は写真屋に持って行くのが普通なのだが考えが回らなかったのか?このフィルムは年代から見て当時の奴だな。

 レンズは4群4枚の38㎜F2.8で最後尾の玉が非球面となっている。昔のコンパクトカメラにありがちなダサいテッサーではないのでDSLRで動いたら面白いのだが。どうせ捨てるものだし是非バラして外してみたい。


★ガンガンバラすぜ!
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 プラスチックカメラはどうやって開けるのか分からんな。外側に付いているネジを全部外したら底板だけが取れた。イヤイヤ、欲しいのはレンズだけなのでここをバラしてもしょうがないぞ。そこにはフラッシュ用の電解コンが見える。ここから行っても感電するのが関の山なのでバラさないぞ。リチウム電池はQD用である。もちろんキレイサッパリ空っぽだ。


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 思い切ってレンズ鏡筒?をひねってみたらカッポリ取れやがった。何だ篏合だったのか。早く言えよ。


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 鏡筒と言うよりはカバーだったね。取れた部分にはレンズキャップ代わりのシャッターが付いている。レンズのシャッターと言っても勿論露光用ではないぞ。これがブチ壊れていたわけだが外したら直った。捨てるのだから意味無いけど。


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 グリップを剥がしてみた。ゴム製だったのか。大体のパターンとしてバラすのはこれを剥がす事から始まる。このゴム劣化してないし何かに使えそうだなあ。グリップのゴム塗装がすっかり脱落したXR-7に付かないかな?少々ならば加工しても良い。


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 遂に取れました!がしかしレンズを外すと言ってもこのレンズには鏡胴という概念が存在しないようだ(^^; ピントを合わせる独立した前群と、板に固定されているシャッター付きの後群とに分かれているようだ。レンズ復元はちょっと難しくなってきたが作業は続ける。昔は電子カメラと呼んだりもしたが基板は小さいし旧来のアナログそのもの。電解コンはマネ下?のタンタルコンである。ICは台湾製だ。この辺りの解説を始めるとHSDLになってしまうので止めた(^^;


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 レンズ・シャッターユニットを取り出せたぞ!これから余計なモノを外していけば恐らくレンズだけになるのではないだろうか。甘いか?


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 前後のレンズを外してシャッターユニットだけ取り出してみる。このユニットからシャッターを取り外して再びレンズを元に戻すのだ。つまりこれが鏡胴とは呼べないまでもレンズの元基板となるのだ。


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 反対側はこうなっている。バシバシ部品を取り外そう。電子シャッターではなく電磁シャッターなのが判るね。


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 電磁石とICからなるシャッターの制御部分である。意外とメカ部分が多く簡易なんだね。


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 シャッターの羽根兼絞り羽根(2枚羽根)である。蟹の腕のような板2枚でシャッターと絞りを兼ねている。絞り羽根が要らないので合理的だ。シャッターを切ると設定した絞りまでしか開かれない仕様だ。いっそのこと絞りも稼働するよう再生するかな?でも面倒だから今のところ開放で良いか。


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 これ以降はピンを引っこ抜かないと外せない部品ばかりだ。プライヤーで板を曲げないように抜いていく。チョット曲がってしまったかも(^^;


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 出来たー!"CANON LENS 38㎜ F2.8"の復活だ。部品を外した元板にプラ部品で出来たレンズユニットを取り付けた。ピント調節部分のバネも元に戻して復元した。これは正面から見た様子。


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 裏から見るとこうなっている。後玉は接着されている事からも判るようにプラ製だ。これがプラスチックモールド非球面レンズだろう。4群4枚の最後がこれになっているのだ。


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 覗いてみる。かなり指紋で汚れたけど多少拭けば問題無いですね。プラなのでかなり危険だけど。


★撮影してみる
 撮影すると言ってもまだ鏡胴が無いので本格的なテストなどは出来ない。カメラの前に手で持ってかざす感じで撮ってみた(^^; 横から光がダダ漏れでコントラストは付かない。真直ぐ支えるのも無理なので偏心しまくり。


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 これは熱糞の前に正方向に置いて撮ってみた。これはマクロ撮影(網戸と夕焼け^^)だがこれで無限遠も全く問題は無い。がしかし、できればペンタックスで撮りたいんだな。


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 ペンタックスで試してみた。予想通り正方向だとマウントにピッタリつけてもかなりの近眼である。このようにマクロ撮影しかできない。写真はモルタルの壁であるが、倍率から言えばかなり大きく撮れている。何しろ撮影距離は10㎝に満たないから。


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 ところがレンズを逆方向に置くとフランジバックが長くなるのだ。斜めになってしまい一寸ボケているけど∞も出る。ちゃんとマウントすれば普通に撮影できそうだ。ちなみにペンタックスで使用すると38㎜は35㎜フルサイズ換算で58㎜相当である。標準レンズとなり使いやすいかも。


 このようにフランジバックはインチキするとペンタックスでも全く問題無いようだ。あとはこれをどうやってきれいに取り付けるかという事に尽きる。偏心しないようにカメラに取り付けるのはなかなか難儀だと思う。もちろん光線漏れや迷光にも気を使わなくてはいけない。本格的には絞りも取り付けなくてはいけないだろう。そういった細々としたことはまた今度考えよう。実はすでに飽きてきたんだな(^^

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