TAMRON 17A 35-70㎜ F3.5
TAMRON 17A①
TAMRON 17A②
今回も引き続き分解前テストを行なう。今回はマクロ域のテストである。
★マクロ
このレンズはM.O.D セレクターシステムと称する機能を搭載している。これをご存じない人の為に書いておく。基本的にこのレンズのマクロは70㎜時であるが、ズームリングがどこに有っても最短撮影距離0.9mより繰り出すと自動的にズームリングが70㎜の方に移動していくのだ。いきなり70㎜になるのではなく徐々に長い方へ移動していくので、見かけ上は最短撮影距離が焦点距離が長くなるほど短くなるように機能するのである。慣れれば使い勝手が良いのかもしれないが、ズーム世代(注)ではない筆者にとっては焦点距離が勝手に変わってしまうのは少々違和感を感じる。今回のテストは70㎜だけである。ピントリングは0.25~0.35の間でほぼマクロの最短撮影距離である。ピントはいつものようにレバーの赤丸辺りに置いている。露出はアンダー病が出るのでオートは止めてマニュアルでやった。開放だけ+2/3補正している。画像は上が1/2全画面で下が中央付近の元(RAW)サイズだ。
=F3.5=
このくらい近づくので手前からレフで起こしたかったが、何しろワーキングディスタンスが皆無に等しいので無理だった(^^; 僅かに甘さがあるがハロは少ないし開放から充分に実用になる画質。
=F5.6=
開放時に僅かにあった甘さが無くなりシャープになった。これってマクロ補正しているのか?と思ってしまう。このサイズであれば全く申し分のない画質だ。まあこれは遠・中距離テストの時も感じていた事だが。
=F8.0=
更に画質が向上した。真ん中辺りはもう飽和状態だ。
=F11=
厳密に言えば更に画質が向上している。周辺も含めればこの辺りが最高画質かな。
=F16=
あっオレが写りこんでいる!現役を離れて久しいとベテランであってもこんな間抜けな失敗をします(^^; 閑話休題、フレアっぽくなり一寸コントラストが落ちたがシャープさは変わらないっぽい。
=F22=
ホエ?真ん中に盛大なフレアーが発生したぞ(実はF16でも発生している)。以前SIGMAズームで発生したあれと同じで、かなり絞って小絞りに於いて発生するのだから回折の影響なのだろうか。尤もこのレンズはカビだらけなので無ければ発生しない可能性も高い。この辺りはカビ取りに成功したらまたテストしてみよう。
=F32=
フレアーがかなり酷くなった。こうなるともう実用は不可能レベルと言える。早くカビ取りしてテストしてみたい。なおフードはいつものハマの折り畳みゴムフードを一杯に伸ばして使用している。純正品(42FH)はAPS-Cや4/3では浅くて実用にならない。
今回テストしたマクロ機能だが、手負いのレンズにもかかわらずなかなかの性能を見せた。ひょっとして近距離補正をしているのだろうか。何にせよ他の廉価ズームで見受けられる「ただ寄れるだけ」のレンズではなくマクロ用として充分に使えるレンズだと思った。
注:ズーミングに依ってフレーミングを行なう事に全く抵抗の無い世代のこと。ズーミングに依ってフレーム(画角)だけでなく遠近感も変化するのだが気にならないのだろうか?筆者は遠近感に問題があまり無い望遠・超望遠ズームを除いてはハッキリ受け付けない。尤もこのマクロ機能の場合はマクロなので遠近感は全く気にならないし、ズーム倍率変更によってF値も変わらないので実害は無いだろう。
★続く
次回はカビ取り作業である。成功したらもう一度マクロテストもしてみたい。なぜ成功したらと条件を付けるかと言うと、このレンズは分解が非常に面倒で失敗するのではないかと危惧しているためだ。HJCLではこれまでにレンズ3本死なせているし自信は無い。