TAMRON 77D 28-80㎜ F3.5-5.6


 またもやタムロンだが、このレンズはαマウントで最初に手に入れたレンズなので仕方が無い。またレンズメーカーの標準ズームの中で最もネコマタギな部類に入るレンズである。これ以上敬遠されるのはエロスΣしか無いからな。このレンズはこの時代の廉価版標準ズームの典型というか雛形ともいえるレンズだ。これを入手した当時はまだαマウントは持っていなかったが、いずれ買うだろうという読みで先物買いした。少々時間はかかってしまったがこうしてテストできるようになってめでたい(^^


★仕様
 タムロンのサイトに拠れば以下のような仕様となっている。AF時代となり残念ながらタムロンアダプトールマウントを含む交換マウント方式は終わりを告げ、この時代からはタムロンレンズでも完全固定マウントとなっている。家でカタログを探したが、丁度このレンズが出た辺りのカタログが無かった。恐らくAFになって興味が失せたのだろう。今考えてみると総合カタログくらいはもらっておくべきだった。まさか後にジャンクでズームを手に入れるとは当時は夢にも思っていなかったから。イヤ当時どころか数年前の筆者は夢にも思っていなかったね(^^;

=TAMRON 77D 製品仕様=
モデル名:77D
マウント:ニコンAF-D/キヤノンAF/コニカミノルタAF/ペンタックスAF
焦点距離:28-80mm
開放F値:3.5-5.6
レンズ構成:7群7枚
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.7m(注)
ズーム形式:回転式
最大撮影倍率:1:8(80mm)
フィルター径:58mm
フード:C2FH
重さ:237g(ニコン用)
最大径X全長:72mm×70.4mm(ニコン用)
価格:38,000円(Canon用のみ40,000円)
発売時期:1995年
製造終了:1998年
広告売り文句:広角28mmから中望遠80mmまでをカバーする標準ズーム。 237gの軽量設計ですので、気軽に持ち運びできます。
注:実際使用してみたところ焦点距離に依り多少違っているようだ。


tamron77d
 残念ながら日本製ではなくCHINA製である。尤もOEMではないので中華製による品質の低下は無いだろう。カメラ業界ではない何処かの業界のように中国人に丸投げしなければ問題は無いのです。


aspherical
 アスフェリカルという赤文字で非球面レンズ採用製品である事が判る。この頃から安価なガラスモールド非球面やハイブリット非球面が光学ガラスのサプライヤーから供給されるようになり爆発的に広まった。しかし廉価版レンズの場合はそれらの殆どがコストダウンや小型化に用いられたため画質の向上には貢献しなかった。上がった分は何所かで削ってしまったから。ただこの頃から開放から高コントラストになってきたのは事実だ。最高性能は同じでもタイプが変わってきているんですね。


a_mount
 徹底したコスト削減により全体的にプラスチックを多用し、通常は金属を用いるメイン鏡胴やレンズマウントまでプラ製となっている。このレンズはタムロン製だが、αシリーズ自体がそのプラスチック化の先鞭をつけたカメラシステム群なので似合いと言えない事も無い。何しろカメラのマウントにもプラスチックが採用された時代である。

 新品の時にはそれなりの品位があるが、当該品のようにジャンク箱の出身ともなると細かい傷だらけでかなり安っぽく見えてくる。表面のかなりの部分を占めるラバーが劣化しやすい事も大きい。ここら辺りが金属製に対する弱みと言えよう。コスト削減は材質だけに止まらずMF用の距離指標も廃止されている。僅かにMF用の細いリングにゴムが巻かれているだけまだ配慮がある方だ。ヒドイのになると掴む(つまむ)所が無いモノすらあったから(某ミノ製)。


c2fh
 これが専用フードのC2FHであるが、御覧の通りかなり浅いフードとなっている。デジタルのAPS-Cはおろか35㎜フルサイズでも浅すぎて遮光効果は皆無に等しい。せめてSIGMAの花形フードのように効果のありそうなものが欲しい。このように効果が無さそうなフードをわざわざ手に入れたのはこの記事の撮影の為である(^^ このレンズはコーティングは前時代よりかなり進化しているが、必要に応じて自身でハレ切りしないと悲惨な事になる場合もあるかも知れない。


★動作チェック
 現時点ではαシリーズのDSLRは所有していない。そのためフィルム時代のαを使って動作チェックしてみた。カメラは最初期のα7000、3xi、後期のSweetだがAFは問題なく完全動作した。AFの速度や騒音はまあ時代なりという事で…(^^; 外見はずんぐりして見栄えはしないが、プラ製で軽い事もあり装着バランスは悪くない。当該品は再三書くようにジャンクだが、経年劣化と思われるのは振った時に若干カタつきが大きいかと言う程度である。ズームリングは35㎜辺りで稀に引っかかりを見せるが問題無し。元々プラスチック製のためリングを回した時にトルクと言うか潤いを感じない。MFは新品時から厳しいが不可能ではない。現に今回のHJCLのテストは全てMFで行なっている。この場合ピントリングが軽すぎるのが問題となる。合わせたあとで手を放す時にズレてしまう可能性が高い。

a7000_77d
 玉は青箱の奇跡か?パッと見で傷は全く見られない。中玉隅に繊維のような極僅かなカビの生えかけ?が見られるが現状では特に問題にならないレベル。覗いた時のコントラストからはクモリも認められない。当該品は分解清掃の必要は無さそうだ。尤もこのレンズはエレメントが樹脂で封印された一体設計なので分解は不可能である。無理やりバラしたらもうTAMRON 77Dとは呼べない。


★∞ピントチェック
 このレンズはαマウントでAF専用レンズである。AFレンズはどのメーカー製でもAFメカの必要上∞の先にオーバーインフの余裕が設けられている。そのためシロートにバラされていない限り∞が出ない事は有り得ない(有ったら明らかに不良品と言える)。元々この手の廉価版AFレンズは非分解式の部分が多いためシロートがメンテしている確率はごく低い。筆者がジャンクで入手したAF専用レンズでバラされたものは一度も見た事が無い。幸いこのレンズもバラされていないようだ。なので無限チェックと言うより無限遠付近の画質チェックを兼ねている。掲載画像はいつものようにRAW等倍からトリミングして中央部をXGAで切り出したもの。

=全景=
mugen

=28㎜ F3.5=
mugen28

=35㎜ F3.5=
mugen35

=50㎜ F4.0=
mugen50

=70㎜ F4.5=
mugen70

=80㎜ F5.6=
mugen80

 ワイド端28㎜は広角で開放F3.5という事もありピントの山がよく判らない。何しろ熱糞のMFアシスト14.0倍でも判然としないくらいだ。尤も広角側は被写界深度も深いので実用的には困らないかもしれない。標準域やテレ端ではピントの山は大体分るがF5.6だとかなり深度が深いので判然としない。以前から書いているがこの中央のマンションは無限遠ではなく有限距離700mである。がしかし望遠レンズではないし、ピントが合った所からリングには更に充分な余裕があり∞でも問題にはならないと思われる。望遠レンズの∞は正確には月でも撮影しないと判らない。


★ピント移動
 これはAF時代のズーム全般に言える事だが、このレンズも例に漏れずズーミングによるピント移動がかなり大きい。このレンズの場合はテレ端やワイド端でピントを合わせ、ズーミングで反対側の焦点距離端に持って行くと画像が使用不能なほどボケボケになる。MFズームではこれほどピントが外れるレンズは故障品以外は存在しない。何故これを故障と判定しないかと言えば他社の廉価AF標準ズームでも多かれ少なかれ同じだったから。AFになってからピント移動などはどーでも良くなった(廉価版に限る)のではなかろうか?その証拠にこれをAFで使っていた時にはピント移動は全く気にならなかったのだ(^^;


tele_wide
wide_tele
 上がテレ端で合わせてワイド端に移動したもの、下がワイド端で合わせてテレ端に移動したもの。これはレンズの定義から言えばズームと言うよりバリフォーカルに近い。恐らくコンテニュアスAFが前提となっているのだろうがMF派にとってはちょっと悲しいものがある。当初は軽いピントリングを触って動かしてしまったのかと思い、何度も試してみたが結果は変わらなかった。

 尤もこれが設計時の性能ではなく経年劣化であるという説もある。何故ならこのレンズはズームのカムに至るまでプラスチック製だからだ。経年摩耗によってガタがきて、通常機械式のピント補正が働かなくなっているという状況だ。こればかりはバラしてみないと何とも言えないのだが、いくらエンプラでも20年程度でそこまで摩耗はしないかな…。


★次回に続く
 大体の素性と使い方が判ってきたところで次回は実際にこのレンズで撮影テストしてみる。90年代中盤のズームレンズは何が何処まで改良されたのか?