SIGMA APO ZOOM 75-300mm F4.5-5.6死亡(^^;


 AFズームレンズばかり扱っているとMFも扱いたくなってくる。MFレンズはバラせるところが良い。勿論AFでもバラせる事はバラせるけど、バラしても完全ユニット化されていて調整するところも無いから面白くも何ともない。やはりバラして遊ぶならMF前期~中期までで、後期はAFと同じくユニット化されているのでダメ。そんな訳でMFズームをバラしたらまた失敗してぶち壊してしまった。正確に言うと途中で失敗したので破棄決定したという…。

sigmaapo75300
 2017/06/25に入手したレンズである。300円でAPOレンズを入手して喜んだのもつかの間、致命的なクモリが発生していて使用不能だった(いわゆるヌカ喜び)。その後100円や50円でAPOを手に入れたので当初の喜びはどこかに消し飛び、あとには深い(不快)後悔だけが残った(^^; ダジャレている場合じゃない。


★絵にかいたような完璧なクモリ玉
 このレンズは入手当時から絵に描いたようなクモリが発生している。ここで言うクモリとは汚れの事ではない(HJCL用語についてはこちらを参照の事)。ガラスの変質に因る清掃では解決できない障害である。以前の記事で言えば"Zuiko100-200mm"の外れなくなった中玉がこれに当たる。これの中玉も表面が磨りガラスのようになってしまっていた。また40Aの中玉も同じようにクモっている。瑞光100-200のと働きが同じレンズなので恐らく同種のガラスと思われる。

 なぜこのようになるのかは今のところよく判っていないが、特定のガラス品種だけがクモるのは間違いない。何故ならクモって見えないガラスと同環境の隣に全く透明なガラスもあるからで、これにより全ての光学ガラスで一律に発生するわけではないのが判る。もちろんコーティングとも関連する可能性はあるが。


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135m045
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 御覧のように透明度が下がって後処理でも救いようが無いくらいコントラストが低下する。ホワイトバランスが誤爆するのか色も滅茶苦茶になる。デジタル写真であってもこれはNGだろう。今回はこれがハードウェア的に救済できるかどうか、クモリ玉を実際に取り出して検査してみたい。大方の予想では本物のクモリ玉で直らないと思うが、どの位置の玉がどのように変化しているのか確認するだけでもそれなりに意義はある。


★バラす
 シグマのレンズをバラすのは2回目である。初めてバラしたZOOM-βはちょっと古い製品なので、構造その他は時代と共に変化している可能性が高い。前玉はHJCLで一度外しているのでソコソコ楽だが、他部分は全くバラされていないのでネジが固いだろうな。これはもうエタノール必須である。


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 ズームレンズを分解するのはグリップのゴムを外すのが基本。これはテープで留めてあるタイプなのでそれも剥がす。テープの再使用はできない。


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 上のリングが外れた。


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 次にヘリコイド枠を抜く。


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 ここからが面倒∧難易度が上がってくる。傷を付けずにネジを回すのが非常に困難なのだ。

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 もちろん注射器が活躍する。


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 カムのローラーを外すと中玉ユニットが取り出せる。


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 このストッパーのネジもネジロックで固めてあるのでアルコールが必要。


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 ありゃ?これで終わりだ。スッカリ停滞してしまった。しかしこれで解ったが、クモリ玉はどうやら絞り直後の玉のようだ。


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 やはり嫌いなマウント部を分解しなくてはいけないようだ。ただこの時期のレンズメーカー製はマウントはユニット化されているので割とスッポリ取れるのはトキナーで経験済み。


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 ほらな。マウント移植ももしかしたら可能かもしれないな。


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 黒いカバーが付いていて回せない。マウント枠の3本のネジを外さなくては…。


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 2本は楽に取れたが何故か3本目でやってしまった。ネジを舐めてしまったのだ。更にそのリカバリーが悪くて完全に回らなくなってしまった。これはもう捨てるしかない。だがしかし、同じ捨てるにしてもバラしだけは最後までやるぞ。ネジなどドリルでブチ壊せばいい。


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 御覧のようにドリルでネジ穴に穴を開けた。もっと細いのでやりたかったが無かったので残念でした。


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 ネジを残してカッポリ外れた。アタマの無いネジが必死に頑張ってへばり付いているがもう外れているのでどうしようもない。バカめ。


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 アホなネジも除去。普通の人ならこれで復活させるのだろうが、筆者はドリルで穴開けた光学製品などは使いたくないので金属ゴミ決定です。


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 更にバラしてバラバラになった。兵どもが夢の後と言う感じですね。バラし自体は罠も無く極めて平易だと思う…が何故かそんなレンズに限って壊してしまったりする。


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 これが絞りと中玉ユニット。


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 これが入っていた玉だが…前玉と絞り直後の玉が低分散ガラスだと思われる。完全にクモっているが触媒はグリスや有機溶剤っぽい。前玉はアルコールによるものだと思う。


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 多分これが低分散ガラス。磨いてみたが勿論全く取れる気配も無い。完全なガラスの変質である。コーティングも取れてしまったのか殆ど見られない。何か色々な意味で触りたくないガラスである。


★終わり
 クモリが無ければいいレンズっぽかったので残念でした。300㎜のAPOは他に無かっただけに戦力的な損失は大きい(注)。だがしかし、ギリシア文字時代のΣレンズをバラすノウハウを手に入れたので良しとするか。そのうちこの時期のを色々バラさねばならないだろうから。

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 まあ死んだと言ってもこの低分散ガラスが再起不能なまでにクモっているので遅かれ早かれ破棄されただろう。一年経って漸く踏ん切りを付けるいい機会になったと言えない事も無い。明日は月一の金属ゴミの日なんでね…(^^;

注:その後すぐにこのレンズのAF版をゲットした。使えねーニコポンマウントなのが難点だが。あとやっぱりクモっている模様(^^;