ネコマタギ★レンズ研究所

ジャンク屋の箱の中で引き取り手が無いレンズを好んで研究するブログである。

DL35-80mm

SIGMA DL35-80mm②

SIGMA DL ZOOM 35-80mm F4-5.6


 前回の続き。今回は前回の分析結果を元に一般的な被写体を撮影してみる。元にと言っても開放しか使わないだろうが(^^


★一般撮影テスト
 このテストはいわばランダムテストで、テキトーにその辺りの風景やモノをその時々の光線状況で写すテストである。これにより定型のワンパターンのチャートテストでは分らない欠陥、特にボケ・ピントの深さ・逆光での挙動が判るのである。35㎜はF4.0、80㎜はF5.6つまり全部開放で撮影している。


ippan_01
 今日は田無市民公園にやって来た。もう17時近いので撮影できる時間は長くない。15分程度で済ませなくてはいけない。焦点距離は35mmである。


ippan_02
 水飲み場の蛇口。ミニズーム・マクロと比べマクロはそれほど得意ではないが一応写真ぽい。焦点距離80mm開放だがこのレンズは円形絞りでボケがキレイだというのを後で思い出した。絞ってテストすればよかったな。尤もボケの美しさは絞りの形だけではないんだけどね。像面が乖離してブレボケしている方が100倍イヤ。


ippan_03
 如何にも公園に有りそうな像だ。どこかに説明があったが読んでいない(^^; 焦点距離は35mmである。


ippan_04
 最初の写真もそうだったが右上がちょっとおかしいな。明らかに不自然なボケが発生している。定型テストでは見られなかったボケだ。左上にも見られるが右側のはそれよりだいぶ大きい。偏芯しているのだろうか?この上の方の流れが無かったらパーフェクトだったのだが。焦点距離は35mmである。


ippan_05
 ううむ、何故か露光オーバーになってしまった。ペンタの評価測光(分割測光)はイマイチよく判らない。まあ一年も使っていないからな。焦点距離は80mmだ。


ippan_06
 ジジイっぽく花でも写してみるか。パンジーは仕上がりが早いな。焦点距離80mmだ。


ippan_07
 これなんて言うんだっけ?花だか葉っぱだかよく判らないけど美味そうに見える。焦点距離は80mmだ。


ippan_08
 葉っぱだか花だかよく判らないモノを真ん中に置いたがピントは左のチューリップである(^^; 焦点距離は80mmだ。


ippan_09
 80mmで田無タワーを狙う。空気の状況はあまり良くないので霞んでいる。距離は1.75kmである。


ippan_10
 田無の商工会議所が寄付した時計。場所柄やはりシチズンだった。35mmで撮影したが後ピンぽいな。


ippan_11
 そろそろ帰るか。右側が自転車置き場である。35mmで撮ったがブレっぽいな。実はもうかなり暗い状況である。


ippan_12
 帰りに夜景でも写そうか。スカイツリーのライトアップが遠くに見える。三脚が無いのでふれあい歩道橋の上に置いて撮ったがやはりブレてしまった。この橋は揺れが激しいのだ。焦点距離は73mmだった。


 何とか作品にしないように努力しているのだが、気づくと写真作品を撮ろうとしているのは長年の経験が邪魔をするのだろうか。何所とは言わないが他ブログの「レンズのテスト」と言いつつ、思い入れたっぷりの「作品」を見せられるのに辟易していたので自分ではそうしないように心掛けているのである(^^ それとズームレンズの両端しか使っていないところも筆者らしいと言えばらしい。最後の夜景が73㎜となっているのは構える時に動いてしまったからであり意図的に動かしたわけではない。結局どちらに回し切っても35-80では変化量が足りないんですね。


★一旦終了
 オレのΣ(何時からだよ^^;)が漸く17Aと同等以上のレンズを出したか。ずいぶん時間がかかったが出さないよりはだいぶマシ。このレンズはペンタックスAF・中距離・遠距離風景用として残したい。玉も実用上問題ないくらいキレイだし分解はしない。

SIGMA DL35-80mm①

SIGMA DL ZOOM 35-80mm F4-5.6


 このレンズは例のHOジャンクカメラ不幸箱の中に入っていたレンズである(^^ 2018年1月現在のHJCL評価価格は194円となっている(注)。外見があのクソレンズ王ミニズームマクロに似ているため、非情にも試写前からクソレンズ評価が定まりつつあった。がしかし、撮影テストの結果は下馬評を覆す画質のレンズだった。

注:ひと箱まとめて1458円のためこういう表現となっている。


★仕様
 シグマレンズは公式サイトに情報が無いが、このレンズに関しては幸運にも手持ちのシグマ・レンズカタログに掲載されていた。

=35-80㎜ F4-5.6 DL ZEN仕様=
AFマウント:ΣSA,α,NikonAF(D),KAF,EOS
MFマウント:FD,Ai,KA,MD,XRP他
レンズ構成枚数:7群8枚
画角:63°-30°
絞り羽根枚数:8枚
最少絞り:F22-32
最短撮影距離:50cm
最大倍率:1:5.8
フィルターサイズ:52φ
ズーム方式:回転式
最大径×全長:72.6mm×60mm
重量:280g
希望小売価格(税別):22,000円(1993年12月現在)
売り文句:経済的価格、軽量、コンパクトでデラックス装備。ポートレートが美しい80㎜までを手堅くカバー。

 1992~94年辺りに売っていたレンズらしい。これの後継がミニズーム・マクロなのだろう。ミニズーム・マクロと比べ太く短い外見で微妙に重い。売り文句にもあるが価格の安さは破壊的だ。この時期になると広角側が物足りないが、価格の安さから一本目のレンズとしてかなり売れたのではないだろうか。何故ならジャンクの数が多いから(^^

 円形絞り、バヨネット式ズームフード付属、ZEN仕上げが売り物だ。ZENは今となっては地雷の疫病神だが(^^; デラックス装備と言うのは何を指しているのだろうか。なおこれはAFだがMFも生産していた模様。マウントによっては常時生産していないモノもあったらしい。


★ZEN除去(^^;
dl3570
 記事にはしなかったが実はHJCLで初めて禅除去を行なったのはこのレンズである。禅の表面積が少なくすぐ終わったので記事にしなかったのだ。元々表面印刷は少なかったのでダメージはそれほど多くないが、それでもズームリングの焦点距離表示と絞り表示が消えて使いづらいのは間違いない。


★遠景テスト
 まずは定型テストの遠景だが、このレンズは標準ズームのため遠景は80㎜に限定する。

=80mm F5.6(開放)=
080f056
 オーッとこれは驚いた。同じ開放F5.6のミニズーム・マクロのイメージがあったので酷い画質を予想していたが驚くほど常識的な画像なので驚いた。ほんの少しハロっぽいが気になるほどではなく充分に実用になる。マンションの描写も良いし驚きだね。

80mm_gensun
 これは等倍だがホントに良いな。これまでに見てきた標準ズームの中では最上位にランクされる。

=80㎜ F8.0=
080f080
 ハロは完全に消えた。周辺に至るまで申し分のない画質。これを見ると後継機?のミニズーム・マクロは何だったんだと思う。

=80㎜ F11=
080f110
 画質は安定しており変わりは無い。ピントが深くなっただけ。

=80㎜ F16=
080f160
 回折により微妙にボケてきているが使えないわけではない。


★中距離テスト35㎜
 次に中距離だが広角側はここからテスト開始だ。中距離テストの時はちょっと暗かったので判りにくいかもしれない。

=35㎜ F4.0(開放)=
035m040
 開放からケチを付ける所は無いですね。全画面に渡って安定しており、恐らく35㎜フルサイズでも変わらないと思う。ファインダーをのぞいた時から良さげに見えたが予想以上だった。

=35㎜ F5.6=
035m056
 あまりに安定しすぎて全く変化が判らない。ピントが深くなっただけ。デジタルレンズを使っているかのよう。

=35㎜ F8.0=
035m080
 ピントが深くなっただけ。

=35㎜ F11=
035m110
 センサー上のゴミが「絞っている」という事を判らせてくれるだけ。恐ろしいばかりの安定度だ。


★中距離テスト43㎜
 次は中間画角という事で43㎜である。なぜ43かと言うと中間に合わせたらそうだったと言うだけの話でした。本当は50㎜でテストしたかったが何しろ表示が無いので分らないんだよ。

=43㎜ F4.5(開放)=
043m045
 画質は35㎜と同様に全画面に渡って全く安定している。ここらでこのレンズが只者ではない事が判ってきた。

=43㎜ F8.0=
043m080
 ピントが深くなっただけ。

=43㎜ F11=
043m110
 ピントが深くなっただけ。

=43㎜ F16=
043m160
 ピントが深くなっただけ。結局ゴミしか変化が無かった(^^;


★中距離テスト80㎜

=80㎜ F5.6(開放)=
080m056
 開放から全く破綻が無い。遠景で見られたハロもこの被写体では判らない。

=80㎜ F8.0=
080m080
 厳密に言うと画質が向上しているが並べて比べないと絶対判らない。

=80㎜ F11=
080m110
 ピントが深くなっただけ。

=80㎜ F16=
080m160
 ピントが深くなっただけ。

 御覧のようにセンサー上にゴミがあったのでテストし直そうかと思ったが、あまりに画質が安定して変化が判らないので、ゴミによって絞られているのを確認しようと思って敢えてそのままにした(^^


★続く
 次回はいつものマクロテストではなく、一足飛びに一般撮影テストに入る。

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