ネコマタギ★レンズ研究所

ジャンク屋の箱の中で引き取り手が無いレンズを好んで研究するブログである。

FD

FD 100-200mm F5.6③

CANON FD 100-200mm F5.6 S.C.


FD 100-200mm F5.6①
FD 100-200mm F5.6②

 今回は中距離のテストを行なおうと思ったのだが、掲示板に書いたように以前からテストに使用していた電柱が建て替わってしまった。そのため以前よりレイアウトが大幅に変わってしまった事から過去のレンズと比較が困難になった。ある程度立体的で色々な収差が観測できる被写体はなかなか無い。まあこれで当分変わる事は無いだろう。パンザーマストの寿命はアクシデントが無い限り60年だから筆者が死ぬまでは大丈夫か?(^^;

denchuu171101
 今回からは電柱はこのようになっている。トランスが他の電柱と違って逆に上の方に付いてしまったのが非常に困る(注)。もしトランス中心に合わせると周辺が空になってしまうので周辺のテストにならない。それだけでなくカメラを上に向けて斜めになると当然像面が倒れるのであまり望ましくないわけだ。そのため今回はトランスは捨ててワイヤーハーネスを中心とした。

 テストした焦点距離は100/150(辺り)/200mmで、絞りはあまり画質変化が無いのでF16まで掲載した。なお150㎜は140㎜と160㎜の中間に合わせている。

注:もと付いていた部分は丁度コンクリート基部とパンザーマストの繋ぎの部分なので付けられなかったのかもしれない。あまりトップヘビーになると繋ぎの部分からポッキリ逝きそう見えるのは筆者だけだろうか?(^^;

★100㎜

=F5.6=
100m056
 厳密に言えばハロは皆無ではないが開放から充分に使える画質だ。像は周辺に至るまで全くと言って良いくらい破綻は見られない(周辺はAPS-C限定だが^^;)。欲を言えばF5.6なので等倍時にもっと細かく解像して欲しいところだ。

=F8.0=
100m080
 一段絞ってもあまり画像に変化は無いが、厳密に言えば稍解像度が上がっている。

=F11=
100m110
 解像度は更に上がっているがコントラストが変わらないのでパッと見た目では良くなったようには見えない。サイズを大きくすると勿論効いてくる。デジタル時代のレンズのようにとにかく安定している。

=F16=
100m160
 1/3絞り程度アンダーになったのはNEX-5の露出計との相性だ。この辺りの絞りでは回折の影響が気になるが、このレンズに関して言えば全く問題は出ていない。


★150㎜

=F5.6=
150m056
 特に変わりなく良い画質である。エッジのキレはイマイチだがコントラストが良いので見栄えがする。人物写真には良いかもしれない。ハイライト部分に一見して判るようにハロは増えてきた。アウトフォーカス部分に色収差が見られるがこの被写体では気にならない。望遠レンズに於いて通常ガラスでこれを皆無に近く補正するのは困難である。

=F8.0=
150m080
 一段絞るとハロはほぼ消えた。相変わらずキレは無いが質感は問題ない。

=F11=
150m110
 更に画質は上昇した。解像度が上がり、パンザーマストのどぶ漬け亜鉛メッキの質感やビニールテープの質感も悪くない。碍子やネジもそれらしく描写されている。

=F16=
150m160
 画質の上昇は特に見られないが悪化もしていないので充分に使える。


★200㎜

=F5.6=
200m056
 ちょっと画面全体がハロっぽくなってきた。細かく言えば160~180㎜辺りからこんな感じである。ハロが増大するにつれて細部の解像感も落ちてきている。画角が狭くなってきたがアウトフォーカス部分に色収差が出ている。これは基本60年代のレンズなので致し方ない。

=F8.0=
200m080
 ハロが殆ど消えて解像度が格段にアップした。例を挙げれば中央のワイヤーハーネスに巻いてある白いテープの100Vと言う文字が読めるようになった。

=F11=
200m110
 上部に残っていたハロも完全に消えてパンザーマストの質感が上がった。金属部分も手触りが感じられる。

=F16=
200m160
 特に画質に変化は無い。ピントの深さが必要な時は遠慮なくF16に絞れる。


 ズーム倍率が低いためか焦点距離に依る画質の変化は少ない。強いて言えば短焦点側が良好と言える。色はデジタルカメラなので気にしないけど、1970年代当時のレンズとしてはソコソコ発色が良いように思えた。何しろ「当社はカラーバランスを崩してまでマルチコートする気はございません」というメーカーなので一口くらいは色に言及してやらないとな(^^


★続く
 前回のテスト撮影は9月20日だったが今回は11月1日である。電柱の工事が終わって、更に台風による天候が回復するのに時間がかかったのだ。期せずして長期間のロードテストになってしまった。次回はマクロ撮影テストを予定している。この最短距離2.5mのレンズでマクロ撮影は出来るのか?

FD 100-200mm F5.6②

CANON FD 100-200mm F5.6 S.C.


FD 100-200mm F5.6①

 まずは長距離と∞のテスト。ここで問題となったのはやはりブレである。何しろレンズが極度に細長いので一度振れると暫くの間振動し続けている。三脚座付マウントアダプターでも危うい状態だ。今回は「可能な限り振動させない」という歯切れの悪い曖昧な解決法となった。ケンコーが望遠ブラケットBR-230というのを出していたようだがもう売っていないね。この手のモノは需要が少ないので自作するしかないのかもしれない。

 それはさておき、焦点距離は100、150(辺り)、200mmで、絞りは開放がF5.6なのでF16まで絞ってテストする。シャッターは静止した頃を見計らってリモコンで押している。


★100㎜
 まずは短い方から。当初∞突き当りまで回してテストしたらオーバーインフで全カットボケて大失敗!二度目は慎重にズーミングの度にピントを合わせた。

=F5.6=
100f056
 100㎜の上にF5.6という事で開放から色収差は目立たない。真ん中のピントも文句無しだが周辺も安定している。充分に使い物になる画質だ。

=F8.0=
100f080
 一段絞るとさらに向上している。これだと等倍でも何とか見られる画質だ。

=F11=
100f110
 ピントが深くなっただけでF8と同様である。実に安定している。

=F16=
100f160
 ここでも安定している。非の打ちどころはない。


★150㎜
 この焦点距離でもやはりオーバーインフ気味だったのでボツ。二度目は目で見てしっかり合わせている。

=F5.6=
150f056
 微妙にコントラストが低いか?とも思えるが難癖に近いレベル(^^; この絞りで充分に使い物になる。

=F8.0=
150f080
 さらに向上した。100㎜もそうだが単焦点との差は明るさ以外には無い。

=F11=
150f110
 ピントをしっかり合わせてブレなければ等倍でも全く問題無し。わざと大画面で見たくなるくらいだ(^^

=F16=
150f160
 もう絞る必要は無かったね。ピントが深くなっただけ。


★200㎜
 この焦点距離では突き当りまで回しても無限が甘くなっている。いずれちゃんと調整したい。

=F5.6=
200f056
 露出が半絞り暗いオーバーになったのだがちょっとハロっぽい気がする。ピントの合ったところは全く問題ないシャープさだが、流石にこのくらいの焦点距離だと色収差が目立ってくる。

=F8.0=
200f080
 ハロっぽさは皆無になってコントラストが上昇。難癖を付けるとしたら前ボケがやや不安な所がある。

=F11=
200f110
 ピントが深くなったので色収差も最至近の電線部分以外は全く気にならなくなった。全く申し分のない描写だ。

=F16=
200f160
 手前までピントが来ただけ。

 結論を言えばF5.6と暗いのと2倍ズームという事で余裕があり、少なくとも遠距離では単焦点と変わらない描写である。


★∞が出ていない?
focus_700m
 実は200㎜は∞の突き当りまで回して撮影したのだが無限が出ていない気がする。タンクは良いとしても避雷針?(700m)がボケている。


focus_500m
 代わりにこの中心にある衛星アンテナ(500m)がシャープすぎる。微妙ではあるが前ピンなのだろう。あまりアテにならないかもしれないが、熱糞のピーキングでもマンションはほぼ赤い所が無いに等しく、その前の辺りに赤が集中している。台風で雨続きだが早く月が出ないかな。そうすればハッキリと断定できるのだが。


after1_toubai
 これは"Zuiko 100-200㎜ F5(OM)"だがマジで解像すればこのくらい写る。タンクのディティールは勿論のこと避雷針の模様まで写る。スゴイ違いだろ?尤も大気の影響はかなりのウェイトを占めるので撮影日時に依る部分も大きいので単純比較は危険だが。

 ∞が出ていないのはK&FのFDマウントアダプタが悪い可能性もある。またはこのFDレンズに元々それほどの解像力が無いのかもしれない。しかし筆者はこの時代のFDレンズの解像力はもっと上だと考えているのだが。いずれオーバーインフ気味にして勝負してみたい。

 このレンズは200㎜は無限にギリギリ足りていないが、150㎜以下ではオーバーインフ気味だった。という事はピント移動があるので「180~200㎜辺りに無限を合わせてそれ以下は成り行き」という調整になっているのではなかろうか。他社は∞が出るところ以外は前ピンになっているのが多い。筆者の好みで言えばこのFDの調整法が一番だと思う。HJCLでズームレンズを調整する場合は全てそうしている。


★次回に続く
 次回は中距離をテストする。

FD 100-200mm F5.6①

CANON FD 100-200mm F5.6 S.C.


 New FDにもあったが、ジャンクで多く出回っているのは圧倒的に銀の締め付けリングでおなじみの旧FDの方である。1966年発売ののFL名義の奴と中身はほぼ同一だし、New FDも鏡胴を改良して小型軽量化しただけだろう。流石にEFの100-200㎜はF値が違うので再設計されたと思われる。それにしてもこのメーカーのこの焦点距離に対する熱意は異常とも思えるほどだ。


★概要
 このレンズは2017年現在どこのHOの青箱にも入っているメジャーレンズであるが、同時に全く売れないネコマタギレンズを代表するレンズでもある。普通に考えてみれば当たり前だわな。

①この高倍率時代に焦点距離が100~200㎜しか変化しない!
②それでいてMFとしては極度に暗い開放F5.6!ピント合わねえ。
③更に鬼畜な最短撮影距離2.5m!室内使用は無理。
④それでいてマクロ機能など一切無し!日常使用は無理。
⑤テレ側で繰り出すと矢鱈細長くて使いづらい形状!ブレまくり。
⑥ジャンクでは不人気の代表格であるFDマウント
⑦中古価格は他のレンズと変わらず決して安いわけではない

 現状これで人気が出る方が不思議だ。大体100-200mmなんて同じくネコマタギの70-210mmにも包含されるのでわざわざ選んで買うもんじゃない。70-210㎜ならF値だって安物でもF4.5はあるだろう。カメラメーカー純正品でなかったら新品だって売れないのではないだろうか。2倍でも50-100㎜だったら需要はあっただろう。ま、設計の難易度は100㎜以下の方が遥かに上になるわけだが。

 そんな訳でほぼ買う人は居ない不燃ゴミ扱いなのであるが、そんなレンズこそがこのネコマタギレンズ研究所の取り上げるべきfavoriteレンズである。新品定価や中古価格は決して安くは無いが、ジャンク価格であれば精々数百円とよい塩梅である(^^ そんな訳で荷物が少ない折にゲトしてきた(注)。

注:以前から買うつもりだったが、100円のは状態の良いのが皆無だったので選り好みしていた。大型で他の買い物がある時は持つのがイヤだったこともある。


normal
 棚で見ていて分っていたけど長い。同じFDに300㎜ F5.6と言うのがあるがアレと似ている。1966年当時ならズームとして普通だし、1970年代でも世間的にはほぼ問題なく許されただろう。もっともNew FD時代には誰にも見向きもされていなかったが。筆者は写真を始めた頃に大亀のワゴンに空しく放置された多数のNew FD版新品特価品(7~8割引き!)を見た事がある。


max
 がしかし。上の100㎜時の姿は仮の姿で200㎜の時に繰り出し、ついでに内蔵フードも伸ばすとこんな姿になる。流石にこれは…とドン引きされても致し方ない。ハッキリ言って400~500mmクラスだよこれは。

FD100-200mm F5.6
 これはモノコート版で1971年5月発売。66mm×174mmで820gである。HOでよく見かけるのはこれだね。銀の締め付けリングにFDらしさを感じてしまう。

FD100-200mm F5.6 S.C.
 上のレンズにスペクトラムコーティングを施したもの。1973年3月発売。66mm×173mmで765gと僅かに長さが縮まり軽量化されているのを知って驚いた。コーティング以外は全く同じだと思っていたので。これも非常に良く見かけるが、今回入手したのはこのバージョンである。

New FD100-200mm F5.6
 New FD版も同価格で売られていたので比較のためゲトしてきた。こちらは軽量化したものの外見が現代的で味わいが低い。筆者のA1・F1には良く似合っているけど。光学的には最少絞りがF32になっただけ。外観的には63mm×167mmで610gと大幅な小型軽量化が図られた。


filter5552
 New FD版はフィルター径も標準の52φになっている。しかし鬼畜な最短撮影距離2.5mは最後まで改善されなかった。最短撮影距離を短くするためには鏡胴の設計変更が必要だからだろう。近距離の画質についても見直さねばなるまい。New FD版の方は1979年6月発売。


 インターネット上では使っている人を殆ど発見できなかった。チマチマとそこら辺の花や猫を写している亀爺・亀オヤジが最短2.5mのレンズを使うわけは無いな。望遠では一般的な鳥の撮影には焦点距離が足りないし。作例を探したが皆無に等しかった。一応細々と使っている人は居たけど写真がちっさいサムネイル級だった。やはりHJCLでテストするしかない。


★状態
maedama
 前玉は全く傷が無く新品同様と言って良い状態。細かいホコリがあるがこれはジャンク店の棚の上でかぶったものだろう。何で前玉だけキレイかと言うと、そこらのビンボー人はプロテクトフィルターを使うからだ。レンズは後玉の方が重要なので前だけ保護してもしょうがない。それに玉に傷が無くてもカビが生えたらお終いだし。まあこのレンズに限れば後玉が天然フード状態なので前玉保護は正解と言えば正解だ。当該物件に関して言えばカビも全く生えてないのでそれなりに気を使って使われていたのだろう。キヤノンナンバーに拠れば1973年8月製造らしいので世代的に近親感はある(^^ 何にせよ44年前に生まれたレンズである。そこらの中年オヤジが生まれた頃のレンズなのだ。こうして現在も全く問題なく使用可能である事に感動する。金属+ガラスレンズはやっぱり最高だよ。


gomi1
 中の状況はこんな感じでジャンクレンズとしては普通である。大きめのゴミが二つ見えるが、これはジャンク在庫中に付着した表面のゴミだと思われる。このレンズは望遠レンズにありがちな後玉がかなり奥まった所にあるタイプで通常接触は無い。そのためジャンク箱で揉まれても傷が付いたりする心配は無いのだ。このメーカーの製品では心配されるクモリも今のところ気にならないしカビも無い。クモリに関しては精密検査をしないと分らないが。


gomi2
 後玉をブロワーで吹いてみた。予想通り大きい二つのゴミは消えてしまった。細かいホコリは残っているが特に問題は無いのでこのまま撮影してみよう。

 メカは今のところ問題無しだが直進ズームなので経年劣化がモロに出るタイプ。直進式はピントリングとズームリングが両方共にお亡くなりになる場合が多いのだ。それとズームはカムが減ってくると機械式のピント補正が効かなくなって来てズームではなくバリフォーカルのようになってしまう。このレンズは使用頻度が低かったのかメカの状態は新品と変わらないので力は出せそう。外見もHJCLが入手後に磨きまくってジャンクから中古美品くらいに昇格している(^^ 内蔵フードに傷が無い分、同時に入手したNew FD版より状態は上と言える。


★次回に続く
 実はこの記事は当該レンズを手に入れるだいぶ前から書き始めている。秋前には半分くらいは書いてあった(^^ ジャンク屋の棚を見ていて、いつかは絶対このレンズを手に入れる事になると信じていたからだ。念願が叶って?こうして記事が陽の目を見る事になった。めでたし^2

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