テレコンバーターとプロクサーで拡大マクロ(←最終目標^^;)
複合マクロ撮影①
複合マクロ撮影②
前回はテレコンとプロクサー(クローズアップレンズ)をそれぞれ使って撮影したが、今回は両方同時に使用してマクロ撮影を行なう。その前に併用の意義についても考える。
★テキトー収差補正
レンズの収差が無くなるのは+(凸レンズ)と-(凹レンズ)のパワーがバランスしてゼロになった時だ。がしかし±ゼロではそれはただの平行ガラスであり入射光は平行光のままである(^^; 写真レンズは光が収束して焦点を結ばなくてはいけない訳で、全体としては当然プラスになるのである。まあそれは気にしないで、レンズの現状を収差補正が完璧な±ゼロ、つまり平行ガラスと同じに考える。プロクサーは凸レンズなので、これを付けた状態ではプラスのパワーが勝っている。これに凹レンズであるテレコンバーターを付ける事によりバランスさせるわけである。そんなに絵に描いたように上手く行くかな?数値では計算できないので実写で判断するしかない。前回の感触では元々がマイナス寄りなのでプロクサーだけで補正できているようにも感じる。その場合はテレコンともっと度の大きなプロクサーを組み合わせると良い。
注:ちなみにここにあるような収差の補正とは違う。リンクの記事はAFレンズの無限遠のオーバーインフの遊び+弱い凸レンズを利用した歪曲収差補正の話で、我々がやりたいのは像面の平坦性を改善する事である。
★ピントが合わない(^^;
これまでの実験は複合マクロ撮影①で熱糞を使ったが、2回目以降はペンタックスを使用している。ペンタではピント合わせにはFIを使用した。これは人間の目のいい加減さから来るバラつきを排除するためだった。で今回もそうしようと思ったのだが全くピントが合わない事が判明した。他のレンズではF8まで耐えられるFIがF7.6でネを上げるのはおかしい。それもキッチリ傾向をもってズレるのである。
これがCZ-715+MC4+プロクサーNo.1の組み合わせでFIで合わせたものだ。ヒドイ。誤差とかそう言うレベルではなく全く合っていないに等しい。何度やってもこのようにキッチリ外れるので目がおかしくなったかと思った(^^;
実は今回はレンズを最短距離にセットしてオリンパスのフォーカシングレールにカメラを載せてピントを合わせた。フォーカシングレールには目盛が付いているのでそれを読んでどのくらいズレているか調べてみた。どうもカメラを被写体から離すとピントが合うようなので後ろにどのくらい下げれば合うのか試してみよう。
FIで合焦のサインが出るのが75㎜で80㎜以降に下げる。レールの目盛は5㎜だから中間の2.5㎜まで読んでいる。
=+5.0㎜=
全く合っていない。がしかしコントラストは良いなあ。FIはコントラストで合わせるからエラーになるのかな?
=+7.5㎜=
文字が判明してきたがボケボケ。
=+10.0㎜=
この辺りからコントラストが落ちてハロっぽくなってきた。逆に解像度は上がってくる。
=+12.5㎜=
まだ解像度がちょっと足りないがコントラストと解像度のバランスは良い。使える。
=+15.0㎜=
ハロっぽいがこれが一番良さそう。印刷の網点が良く見える。
=+17.5㎜=
チョイと外れたね。
=+20.0㎜=
完全にボケた。
結論から言うと12.5~15㎜後ろに下げるとピントが大体合った。ピント板の像を見てもこの辺りが一番シャープに見える「気」がする。イヤ暗いのでハッキリしないんだな(^^; 像面が15㎜も後ろに下がるなんて尋常ではないのだが。とにかくFIで合わせて15㎜後ろに下げるとピントが合うようだ。何なんだコイツは…(^^;
球面収差の最大膨らみS_maxが0.1㎜を越えるとピント移動が目立つと言われているが15mmも移動するのはちょっと大きすぎるのではないか?(^^; テレコンで画角が制限されるとFIに何らかの誤動作が起こるのだろうか。現状では恐らく収差が誤作動に関わっているのだろうと考えるしかない。傾向があるから対策出来るし、取りあえずこれは宿題という事で。
★テレコン+プロクサーでマクロ撮影
上に書いた収差補正を期待して両方付けて撮影してみる。
テレコン+プロクサーで70㎜の時の画像。右上が何か怪しいが紙が反っているのかもしれない。全体的には解像度もコントラストも充分と言える。イヤいつもこれだけ写るなら常用したい(^^;
CZ-715+MC4+プロクサーNo.1でマクロ倍率を測ってみると70mmにて大体1:3.7くらいだった。同じく150㎜で測ってみると1:1.7くらいか。これなら完全にマクロレンズと同等である。今回は拡大が目的なので150㎜だけテストする。
=F3.8(F7.6)=
うーむ、画像はデカいが流石にホヤホヤだな(^^; 単体の時よりハロが増大しているのがハッキリ判る。ただ解像度自体は悪くない。
=F5.6(F11)=
まだハロっぽいが一段絞って更に解像度は上がった。もう印刷の網点が出てしまっている。モアレの心配もしなくては。
=F8.0(F16)=
ここでガツンとコントラストが付いた。解像度も恐らくこの辺りが最上か?充分使えると言うか使いたい。右側のボケはテレコンの偏心かな?一度バラしたので自信が無い。何しろスペーサーだけで前後以外全く玉が止められていないレンズである(^^;
=F11(F22)=
解像度は変わらないがコントラストは更に上昇。ナマ画像だが加工すればコントラストも更に良くなるだろう。これが70年代のズームレンズのマクロだとは信じられないくらいだ。ブラウザで縮小して見ないでね。ブラウザの縮小アルゴリズムの画質しか判らないから。
シャッターが既に0.2sになっており、これより絞ると秒単位になってしまいそうなのでこの辺りで止めておく。
★一旦終了
収差補正に期待したが一見して気づくような効果は無かった。テレコンの方は変えられないのでプロクサーの度数を色々加減してみるのも良いかもしれない。実はそれをやるにはHJCLにプロクサーが揃っていないので出来なかったのだ。次回やる時はもっと充実させてテストしてみたい。このテストの延長なのですぐに終わるはずだから。まあ収差補正の目的は果たせなくともソコソコ拡大(1:1.7)マクロの目的は果たせた。