ネコマタギ★レンズ研究所

ジャンク屋の箱の中で引き取り手が無いレンズを好んで研究するブログである。

TAMRON

TAMRON 77D③

TAMRON 77D 28-80㎜ F3.5-5.6


TAMRON 77D①
TAMRON 77D②

 前回の遠・中距離テストに続き今回はマクロ(最短撮影距離)テストを行なう。前回のテストでレンズの性格は焦点距離に因ってあまり変化が無いと判明したので、今回のマクロ撮影は28、50、80㎜に限定する。前回は絞りは二段絞りまでだったが、今回はマクロのため最少の六段まで絞る。

 今回の記事では画像の提示法を変更する。28㎜は等倍で中央部付近をトリミングして切り出す。サイズが小さいと何も判らなかったのでこうした。50㎜と80㎜は1/2して真ん中を切り出す。等倍だと一部しか見えないのでこうした。どちらにしても周辺は判らなくなるが、このレンズに関しては全画面均質なので等倍で見ても破綻は無かった。なおコメントは等倍画像を見ている。


★28㎜
 ワイド端の28㎜である。この焦点距離でマクロ撮影をやる人は居ないだろうが、広角レンズでは寄りは基本である。尤も85㎝では「寄り」と言う感じではないが…。

=28㎜全景=
028mc_zenkei
 アリャ?5xiのボディキャップが90度傾いている(^^; 言い訳その1、このボディキャップは手抜き品でバヨネット爪が無いので曲がって付いてしまう。閑話休題、いやーこれは良いコントラストだ!開放からほぼ全開で、真ん中のコントラストは今まで見た事の無いレベル。今まで70~80年代ばかり見てきたから新鮮だ。このサイズならパーフェクトに近い画像なのだが。

=開放F3.5=
028mc000
 実はコントラストは良いが解像度は大した事は無い。それでも開放からハロが殆ど無く全開のコントラストなのは間違いない。小サイズ写真を想定して低周波の再現に絞って仕上げているのだろう。筆者の嫌いなタイプだがまあいいか(^^;

=一段絞り=
028mc001
 あまり変わらないけど締まった感じ。ハロは皆無になって解像度は微妙に向上している。

=二段絞り=
028mc002
 特に変化は無い。安定している。

=三段絞り=
028mc003
 このあたり前がボケ始める。ピントが移動している模様。

=四段絞り=
028mc004
 全体的に画像がボケ始める。サイズが小さければ見られるだろうが…。

=五段絞り=
028mc005
 ピンボケのようにボケてしまった。これはもう誰が見ても悪いと判断するだろう。

=六段絞り=
028mc006
 全画面に渡ってハッキリ判るほどボケてしまった。これほどボケたレンズは過去にHJCLでテストしたレンズでは存在しない。これが新品の時からだとすればスゲエ製品だな。普及コンデジでもこれよりマシなのはある。


★50㎜
 丁度中間の50㎜である。ここら辺りの画質が良いと使えるのだが…。開放F4.0なのであまりボケない。ちなみに前回もそうだが、一連の記事に書いているテレ・ワイド両端以外の開放F値はα7000のものを表記している。αならどれも同じだろう。

=50㎜全景=
050mc_zenkei
 このサイズだと本当にいいね。これが安物標準ズームの開放だと思うと驚き。だがしかし。

=開放F4.0=
050mc000
 ちょっと大きくすると冴えなくなる。それでもこの画質なら筆者は文句無しだね。こんな画質のレンズは前時代には無かった。

=一段絞り=
050mc001
 微妙なハロが消えて更にシャープ感(←使いたくない微妙な表現^^;)が増した。

=二段絞り=
050mc002
 被写界深度が深くなっただけで特に変化は無い。

=三段絞り=
050mc003
 一寸ボケてきたが使えるレベル。

=四段絞り=
050mc004
 歴然とボケたね。小サイズなら使えるが。

=五段絞り=
050mc005
 ボケボケ。細かい所は解像しなくなって来ている。

=六段絞り=
050mc006
 低照度でノイズが入ってしまったがボケボケが酷くなったのは間違いない。もう普及コンデジにも負けるかもしれない。


★80㎜
 テレ端の80㎜である。この焦点距離で漸くマクロという感じになってくる。

=80㎜全景=
080mc_zenkei
 短い方に比べ稍コントラストが落ちてきたが悪くない。ボケも特にイヤなものは感じられない。開放なのだから合格である。

=開放F5.6=
080mc000
 コントラストが低いが描写は悪くない。やはり開放から全開だ。

=一段絞り=
080mc001
 ハロっぽさが消えて見違えるようにシャープになった。いいね。この辺りはやや昔風。

=二段絞り=
080mc002
 特に変わりなし。超安定。

=三段絞り=
080mc003
 ありゃ?微妙にボケ始めたぞ。コントラストは相変わらず良いがキレが稍不足してきている。

=四段絞り=
080mc004
 完全にボケてきたね。

=五段絞り=
080mc005
 更にボケた。もう細かい部分は解像していない。文字が有ったら気になるレベル。でもノイズが酷いのでよく判らなくなってきた(^^;

=六段絞り=
080mc006
 コンデジ並に転落。だが小サイズなら使える。80㎜はピークの緩やかな安定型だね。ノイズ酷過ぎ。でも解るので直さない(実は環境が変わって撮り直せない^^;)。


★続く
 という事で画質は全画面均質だが絞ると頭打ちが早いレンズという事になった。当初思っていた通りなので意外性は無いが、ここまで早くしかも悪化するとは思っていなかった。

TAMRON 77D②

TAMRON 77D 28-80㎜ F3.5-5.6


TAMRON 77D①

 前回の続きで今回は実際に撮影テストしてみる。今回は遠・中距離、つまり風景撮影である。焦点距離の短い標準ズームのため遠距離と中距離は一緒にする。

 今回問題になったのはやはり絞り値の問題である。マウントアダプターの関係で絞り値が不明なのだ。シャッター速度から絞り値を推測する事も考えたが、今回はマウントアダプターの絞りに入っているクリックを一段ずつ絞って記録していこうと思う。理由は面倒だったからだが、これでも絞りと画質の関係は充分に判ったのでこれを採用する。

 今回は掲載画像が小さいが、これは等倍で見てもあまり意味は無いというか目的外のような気がしたから(^^; 適宜等倍画像も掲載する。なおコメントは等倍画像に付いて語っているものだ。掲載サイズでは恐らく判らない。


★28㎜
 ワイド端の28㎜である。鏡胴はテレ端80㎜と同じ長さまで伸びるが大した事は無い。

=開放F3.5=
028m0350
 開放は少々解像度が低いね。コントラストは開放からほぼ全開なので余計に気になってしまう。もちろん28㎜という事を考えればこんなものかもしれないが。

=一段絞り=
028m0351
 まだ不充分ながら微妙に解像度が向上している。コントラストは全くと言って良いくらい変化は無い。

=二段絞り=
028m0352
 解像度が漸く使えるレベルに達してきた。

=三段絞り=
028m0353
 特に変化は見られない。あと絞っていくとかなりピントが移動する。AFしか想定されていないので仕方が無い。もう設計段階で「ピント移動は気にしない」って事になったのかな?

 28㎜は開放から三段絞りまで画質の変化が殆ど無いと言える。変化の無いレンズはユーザーの夢・技術者の理想と言われてきたが、イザ実現してみるとサッパリ良いと感じないのは何故か?良いレンズの条件を備えていても個性が無くて面白くないという事だろう(^^;


★35㎜
 あまり変化は無いが一応確認しておく。

=開放F3.5=
035m0400
 これも開放からコントラスト全開だ。流石に90年代のレンズと言えよう。ただ28㎜でも思ったが解像度は高くないというか低い。

=一段絞り=
035m0401
 絞っても特に何の変化も無い。ピントが移動したのが判るだけ(^^;

=二段絞り=
035m0402
 特に変化は無い。以下三段絞りは省略する。


★50㎜
 丁度中間の50㎜である。この焦点距離の時に鏡胴が一番短く縮む。なので結構使い道のある焦点距離なのだ。

=開放F4.0=
050m0450
 ちょっとハロっぽいが。周辺まで流れも無く解像している。コントラストも問題無し。但し絶対値は高くない。

=一段絞り=
050m0451
 周辺のコントラストが開放の中央並みに向上した。中央は更に締まってきて文句無し。

=二段絞り=
050m0452
 周辺の画質はさらに向上したが中央部はもう上昇していない。これ以上絞っても無駄。


★70㎜

=開放F4.5=
070m0500
 微妙にハロがあるが問題にはならないか。これも開放からほぼ全開に近いコントラスト。

=一段絞り=
070m0501
 ハロが消えてほぼ最高画質に。

=二段絞り=
070m0502
 上がった気もするがこのサイズだと分らない。


★80㎜
 テレ端の80㎜である。

=開放F5.6=
080m0560
 開放からいきなり全開だ。ハロはあるがコントラストは充分で解像力も問題無し。

=一段絞り=
080m0561
 ほやっとしていたのが締まってきた。

=二段絞り=
080m0562
 更に上昇。これが全画面に渡って最高画質だ。

 これ以上絞ると逆に低下していく。このレンズは巷の評判がよろしくないのだが恐らく絞って使ったのではなかろうか(絞ると開放より悪くなるっぽい)。なんて早熟なレンズなんだ…。APS-Cだとやはり80mmが一番かなあ。


★次回に続く
 開放からコントラストが全開に近く三段絞っても殆ど変化しなかった。これは完全補正または低収差レンズの特徴である。まさかこれほど初戦全開型だとは思わなかった。馬で言えば新馬をブッチギリで勝って2戦目からはずっと勝てなくて3歳で地方競馬へ転籍という早熟タイプだな(^^; もちろん絶対値は違うけど後のデジタルレンズに通じるものがある。変化が無く面白くないと言えば面白くない。

TAMRON 77D①

TAMRON 77D 28-80㎜ F3.5-5.6


 またもやタムロンだが、このレンズはαマウントで最初に手に入れたレンズなので仕方が無い。またレンズメーカーの標準ズームの中で最もネコマタギな部類に入るレンズである。これ以上敬遠されるのはエロスΣしか無いからな。このレンズはこの時代の廉価版標準ズームの典型というか雛形ともいえるレンズだ。これを入手した当時はまだαマウントは持っていなかったが、いずれ買うだろうという読みで先物買いした。少々時間はかかってしまったがこうしてテストできるようになってめでたい(^^


★仕様
 タムロンのサイトに拠れば以下のような仕様となっている。AF時代となり残念ながらタムロンアダプトールマウントを含む交換マウント方式は終わりを告げ、この時代からはタムロンレンズでも完全固定マウントとなっている。家でカタログを探したが、丁度このレンズが出た辺りのカタログが無かった。恐らくAFになって興味が失せたのだろう。今考えてみると総合カタログくらいはもらっておくべきだった。まさか後にジャンクでズームを手に入れるとは当時は夢にも思っていなかったから。イヤ当時どころか数年前の筆者は夢にも思っていなかったね(^^;

=TAMRON 77D 製品仕様=
モデル名:77D
マウント:ニコンAF-D/キヤノンAF/コニカミノルタAF/ペンタックスAF
焦点距離:28-80mm
開放F値:3.5-5.6
レンズ構成:7群7枚
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.7m(注)
ズーム形式:回転式
最大撮影倍率:1:8(80mm)
フィルター径:58mm
フード:C2FH
重さ:237g(ニコン用)
最大径X全長:72mm×70.4mm(ニコン用)
価格:38,000円(Canon用のみ40,000円)
発売時期:1995年
製造終了:1998年
広告売り文句:広角28mmから中望遠80mmまでをカバーする標準ズーム。 237gの軽量設計ですので、気軽に持ち運びできます。
注:実際使用してみたところ焦点距離に依り多少違っているようだ。


tamron77d
 残念ながら日本製ではなくCHINA製である。尤もOEMではないので中華製による品質の低下は無いだろう。カメラ業界ではない何処かの業界のように中国人に丸投げしなければ問題は無いのです。


aspherical
 アスフェリカルという赤文字で非球面レンズ採用製品である事が判る。この頃から安価なガラスモールド非球面やハイブリット非球面が光学ガラスのサプライヤーから供給されるようになり爆発的に広まった。しかし廉価版レンズの場合はそれらの殆どがコストダウンや小型化に用いられたため画質の向上には貢献しなかった。上がった分は何所かで削ってしまったから。ただこの頃から開放から高コントラストになってきたのは事実だ。最高性能は同じでもタイプが変わってきているんですね。


a_mount
 徹底したコスト削減により全体的にプラスチックを多用し、通常は金属を用いるメイン鏡胴やレンズマウントまでプラ製となっている。このレンズはタムロン製だが、αシリーズ自体がそのプラスチック化の先鞭をつけたカメラシステム群なので似合いと言えない事も無い。何しろカメラのマウントにもプラスチックが採用された時代である。

 新品の時にはそれなりの品位があるが、当該品のようにジャンク箱の出身ともなると細かい傷だらけでかなり安っぽく見えてくる。表面のかなりの部分を占めるラバーが劣化しやすい事も大きい。ここら辺りが金属製に対する弱みと言えよう。コスト削減は材質だけに止まらずMF用の距離指標も廃止されている。僅かにMF用の細いリングにゴムが巻かれているだけまだ配慮がある方だ。ヒドイのになると掴む(つまむ)所が無いモノすらあったから(某ミノ製)。


c2fh
 これが専用フードのC2FHであるが、御覧の通りかなり浅いフードとなっている。デジタルのAPS-Cはおろか35㎜フルサイズでも浅すぎて遮光効果は皆無に等しい。せめてSIGMAの花形フードのように効果のありそうなものが欲しい。このように効果が無さそうなフードをわざわざ手に入れたのはこの記事の撮影の為である(^^ このレンズはコーティングは前時代よりかなり進化しているが、必要に応じて自身でハレ切りしないと悲惨な事になる場合もあるかも知れない。


★動作チェック
 現時点ではαシリーズのDSLRは所有していない。そのためフィルム時代のαを使って動作チェックしてみた。カメラは最初期のα7000、3xi、後期のSweetだがAFは問題なく完全動作した。AFの速度や騒音はまあ時代なりという事で…(^^; 外見はずんぐりして見栄えはしないが、プラ製で軽い事もあり装着バランスは悪くない。当該品は再三書くようにジャンクだが、経年劣化と思われるのは振った時に若干カタつきが大きいかと言う程度である。ズームリングは35㎜辺りで稀に引っかかりを見せるが問題無し。元々プラスチック製のためリングを回した時にトルクと言うか潤いを感じない。MFは新品時から厳しいが不可能ではない。現に今回のHJCLのテストは全てMFで行なっている。この場合ピントリングが軽すぎるのが問題となる。合わせたあとで手を放す時にズレてしまう可能性が高い。

a7000_77d
 玉は青箱の奇跡か?パッと見で傷は全く見られない。中玉隅に繊維のような極僅かなカビの生えかけ?が見られるが現状では特に問題にならないレベル。覗いた時のコントラストからはクモリも認められない。当該品は分解清掃の必要は無さそうだ。尤もこのレンズはエレメントが樹脂で封印された一体設計なので分解は不可能である。無理やりバラしたらもうTAMRON 77Dとは呼べない。


★∞ピントチェック
 このレンズはαマウントでAF専用レンズである。AFレンズはどのメーカー製でもAFメカの必要上∞の先にオーバーインフの余裕が設けられている。そのためシロートにバラされていない限り∞が出ない事は有り得ない(有ったら明らかに不良品と言える)。元々この手の廉価版AFレンズは非分解式の部分が多いためシロートがメンテしている確率はごく低い。筆者がジャンクで入手したAF専用レンズでバラされたものは一度も見た事が無い。幸いこのレンズもバラされていないようだ。なので無限チェックと言うより無限遠付近の画質チェックを兼ねている。掲載画像はいつものようにRAW等倍からトリミングして中央部をXGAで切り出したもの。

=全景=
mugen

=28㎜ F3.5=
mugen28

=35㎜ F3.5=
mugen35

=50㎜ F4.0=
mugen50

=70㎜ F4.5=
mugen70

=80㎜ F5.6=
mugen80

 ワイド端28㎜は広角で開放F3.5という事もありピントの山がよく判らない。何しろ熱糞のMFアシスト14.0倍でも判然としないくらいだ。尤も広角側は被写界深度も深いので実用的には困らないかもしれない。標準域やテレ端ではピントの山は大体分るがF5.6だとかなり深度が深いので判然としない。以前から書いているがこの中央のマンションは無限遠ではなく有限距離700mである。がしかし望遠レンズではないし、ピントが合った所からリングには更に充分な余裕があり∞でも問題にはならないと思われる。望遠レンズの∞は正確には月でも撮影しないと判らない。


★ピント移動
 これはAF時代のズーム全般に言える事だが、このレンズも例に漏れずズーミングによるピント移動がかなり大きい。このレンズの場合はテレ端やワイド端でピントを合わせ、ズーミングで反対側の焦点距離端に持って行くと画像が使用不能なほどボケボケになる。MFズームではこれほどピントが外れるレンズは故障品以外は存在しない。何故これを故障と判定しないかと言えば他社の廉価AF標準ズームでも多かれ少なかれ同じだったから。AFになってからピント移動などはどーでも良くなった(廉価版に限る)のではなかろうか?その証拠にこれをAFで使っていた時にはピント移動は全く気にならなかったのだ(^^;


tele_wide
wide_tele
 上がテレ端で合わせてワイド端に移動したもの、下がワイド端で合わせてテレ端に移動したもの。これはレンズの定義から言えばズームと言うよりバリフォーカルに近い。恐らくコンテニュアスAFが前提となっているのだろうがMF派にとってはちょっと悲しいものがある。当初は軽いピントリングを触って動かしてしまったのかと思い、何度も試してみたが結果は変わらなかった。

 尤もこれが設計時の性能ではなく経年劣化であるという説もある。何故ならこのレンズはズームのカムに至るまでプラスチック製だからだ。経年摩耗によってガタがきて、通常機械式のピント補正が働かなくなっているという状況だ。こればかりはバラしてみないと何とも言えないのだが、いくらエンプラでも20年程度でそこまで摩耗はしないかな…。


★次回に続く
 大体の素性と使い方が判ってきたところで次回は実際にこのレンズで撮影テストしてみる。90年代中盤のズームレンズは何が何処まで改良されたのか?

複合マクロ撮影③

テレコンバーターとプロクサーで拡大マクロ(←最終目標^^;)


複合マクロ撮影①
複合マクロ撮影②

 前回はテレコンとプロクサー(クローズアップレンズ)をそれぞれ使って撮影したが、今回は両方同時に使用してマクロ撮影を行なう。その前に併用の意義についても考える。


★テキトー収差補正
 レンズの収差が無くなるのは+(凸レンズ)と-(凹レンズ)のパワーがバランスしてゼロになった時だ。がしかし±ゼロではそれはただの平行ガラスであり入射光は平行光のままである(^^; 写真レンズは光が収束して焦点を結ばなくてはいけない訳で、全体としては当然プラスになるのである。まあそれは気にしないで、レンズの現状を収差補正が完璧な±ゼロ、つまり平行ガラスと同じに考える。プロクサーは凸レンズなので、これを付けた状態ではプラスのパワーが勝っている。これに凹レンズであるテレコンバーターを付ける事によりバランスさせるわけである。そんなに絵に描いたように上手く行くかな?数値では計算できないので実写で判断するしかない。前回の感触では元々がマイナス寄りなのでプロクサーだけで補正できているようにも感じる。その場合はテレコンともっと度の大きなプロクサーを組み合わせると良い。

注:ちなみにここにあるような収差の補正とは違う。リンクの記事はAFレンズの無限遠のオーバーインフの遊び+弱い凸レンズを利用した歪曲収差補正の話で、我々がやりたいのは像面の平坦性を改善する事である。

★ピントが合わない(^^;
 これまでの実験は複合マクロ撮影①で熱糞を使ったが、2回目以降はペンタックスを使用している。ペンタではピント合わせにはFIを使用した。これは人間の目のいい加減さから来るバラつきを排除するためだった。で今回もそうしようと思ったのだが全くピントが合わない事が判明した。他のレンズではF8まで耐えられるFIがF7.6でネを上げるのはおかしい。それもキッチリ傾向をもってズレるのである。

pinboke
 これがCZ-715+MC4+プロクサーNo.1の組み合わせでFIで合わせたものだ。ヒドイ。誤差とかそう言うレベルではなく全く合っていないに等しい。何度やってもこのようにキッチリ外れるので目がおかしくなったかと思った(^^;

 実は今回はレンズを最短距離にセットしてオリンパスのフォーカシングレールにカメラを載せてピントを合わせた。フォーカシングレールには目盛が付いているのでそれを読んでどのくらいズレているか調べてみた。どうもカメラを被写体から離すとピントが合うようなので後ろにどのくらい下げれば合うのか試してみよう。

 FIで合焦のサインが出るのが75㎜で80㎜以降に下げる。レールの目盛は5㎜だから中間の2.5㎜まで読んでいる。

=+5.0㎜=
+050mm
 全く合っていない。がしかしコントラストは良いなあ。FIはコントラストで合わせるからエラーになるのかな?

=+7.5㎜=
+075mm
 文字が判明してきたがボケボケ。

=+10.0㎜=
+10mm
 この辺りからコントラストが落ちてハロっぽくなってきた。逆に解像度は上がってくる。

=+12.5㎜=
+12r5mm
 まだ解像度がちょっと足りないがコントラストと解像度のバランスは良い。使える。

=+15.0㎜=
+15mm
 ハロっぽいがこれが一番良さそう。印刷の網点が良く見える。

=+17.5㎜=
+17r5mm
 チョイと外れたね。

=+20.0㎜=
+20mm
 完全にボケた。

 結論から言うと12.5~15㎜後ろに下げるとピントが大体合った。ピント板の像を見てもこの辺りが一番シャープに見える「気」がする。イヤ暗いのでハッキリしないんだな(^^; 像面が15㎜も後ろに下がるなんて尋常ではないのだが。とにかくFIで合わせて15㎜後ろに下げるとピントが合うようだ。何なんだコイツは…(^^;

 球面収差の最大膨らみS_maxが0.1㎜を越えるとピント移動が目立つと言われているが15mmも移動するのはちょっと大きすぎるのではないか?(^^; テレコンで画角が制限されるとFIに何らかの誤動作が起こるのだろうか。現状では恐らく収差が誤作動に関わっているのだろうと考えるしかない。傾向があるから対策出来るし、取りあえずこれは宿題という事で。


★テレコン+プロクサーでマクロ撮影
 上に書いた収差補正を期待して両方付けて撮影してみる。


70mm_mc4_cu1
70mm_mc4_cu1_toubai
 テレコン+プロクサーで70㎜の時の画像。右上が何か怪しいが紙が反っているのかもしれない。全体的には解像度もコントラストも充分と言える。イヤいつもこれだけ写るなら常用したい(^^;


 CZ-715+MC4+プロクサーNo.1でマクロ倍率を測ってみると70mmにて大体1:3.7くらいだった。同じく150㎜で測ってみると1:1.7くらいか。これなら完全にマクロレンズと同等である。今回は拡大が目的なので150㎜だけテストする。


=F3.8(F7.6)=
cz715_mc4_cu1_038
cz715_mc4_cu1_038_toubai
 うーむ、画像はデカいが流石にホヤホヤだな(^^; 単体の時よりハロが増大しているのがハッキリ判る。ただ解像度自体は悪くない。

=F5.6(F11)=
cz715_mc4_cu1_056
cz715_mc4_cu1_056_toubai
 まだハロっぽいが一段絞って更に解像度は上がった。もう印刷の網点が出てしまっている。モアレの心配もしなくては。

=F8.0(F16)=
cz715_mc4_cu1_080
cz715_mc4_cu1_080_toubai
 ここでガツンとコントラストが付いた。解像度も恐らくこの辺りが最上か?充分使えると言うか使いたい。右側のボケはテレコンの偏心かな?一度バラしたので自信が無い。何しろスペーサーだけで前後以外全く玉が止められていないレンズである(^^;

=F11(F22)=
cz715_mc4_cu1_110
cz715_mc4_cu1_110_toubai
 解像度は変わらないがコントラストは更に上昇。ナマ画像だが加工すればコントラストも更に良くなるだろう。これが70年代のズームレンズのマクロだとは信じられないくらいだ。ブラウザで縮小して見ないでね。ブラウザの縮小アルゴリズムの画質しか判らないから。

 シャッターが既に0.2sになっており、これより絞ると秒単位になってしまいそうなのでこの辺りで止めておく。


★一旦終了
 収差補正に期待したが一見して気づくような効果は無かった。テレコンの方は変えられないのでプロクサーの度数を色々加減してみるのも良いかもしれない。実はそれをやるにはHJCLにプロクサーが揃っていないので出来なかったのだ。次回やる時はもっと充実させてテストしてみたい。このテストの延長なのですぐに終わるはずだから。まあ収差補正の目的は果たせなくともソコソコ拡大(1:1.7)マクロの目的は果たせた。

複合マクロ撮影②

テレコンバーターとプロクサーで拡大マクロ(←最終目標^^;)


複合マクロ撮影①

 室内での撮影が面倒なので遅々として進まない(^^; ちなみに地図のどの辺を撮影するかは無作為である。三脚を立てる位置が都合が良かっただけだ。


★お次はプロクサー
 プロクサーはケンコーのNo.1である。このNo.1というのは何かと言うと0、1、2、3…と番数が大きくなるにつれ近視度が強くなるのだ。凸レンズなので度が強ければ強いほどレンズは近視になり、最短撮影距離が縮まって被写体が大きく写せるわけだ。プロクサーは原則として露出倍数が掛からない為にシャッター速度も変わらない。画質の劣化を考えなければ最も手軽に接写が楽しめるアクセサリーだ(但し収差は増大する)。ちなみに特殊用法だが重ねる事もできる。テレコンが後ろに追加するのに対し前に追加するのがプロクサーと言える。


cz715_cu1_070110
 まずはマクロ倍率を測ってみる。70mmにて1:8くらいだった。最短撮影距離が1.5→約75㎝に縮まったためにマクロらしくなってきた。150㎜の時は1:3程度で、今回は拡大が目的のため150㎜だけでテストする。


=開放F3.8=
cz715_cu1_150038
cz715_cu1_150038t
 CZ-715単体の遠距離撮影でもそうだったように流石にハロっぽいが、子細に見ればピントに芯があり解像度は低くない事が判る。この地図の文字は小さいものや低コントラストのものも含め全て解像している。絞った時に期待できるね。下の等倍画像でもそれはハッキリ判る。

=F5.6=
cz715_cu1_150056
cz715_cu1_150056t
 予想通り過剰補正分がだいぶ切れた。ただまだ完全とは言い難く稍ハロを感じる。解像度は相変わらず良い。

=F8.0=
cz715_cu1_150080
cz715_cu1_150080t
 ここで漸くバッサリとハロが消えて中央部は完全な描写になった。所々にまだ甘さが残っているのだが。コントラストはこれが最高かな?

=F11=
cz715_cu1_150110
cz715_cu1_150110t
 全画面に渡って最高の画質となる。中央部のコントラストは単体と変わらないかむしろよく見えるのは気のせいか?

=F16=
cz715_cu1_150160
cz715_cu1_150160t
 ピークは過ぎた気もするがまだ高いレベルを維持している。

=F22=
cz715_cu1_150220
cz715_cu1_150220t
 これでもまだ実用範囲内である。解像度が極僅かに低下しているがコントラストは変わらないので問題無し。

 このレンズはNo.1プロクサーとの相性はいいね。これなら実用目的で持ち歩いても良いかもしれない。


★気づいた事
 このCZ-715で最短撮影距離限定の話だが、このレンズはどうも全体のバランスがマイナス側に偏っている気がする。何故ならプロクサーを付けた時の方が付けない時より画質が良く感じるのだ。そういう補正例は普通にある。

cu1_toubai
 うーん、この等倍画質。これはプロクサー付きだが単体ではこんなコントラストは出ないような気がする。解像力も少し上がって黄色い部分にモアレが出ている。言っとくけどカラーを整えただけでアンシャープなんてかけてないからね。マクロレンズと大差無いとまでは言わないが、もっとシャープなレンズが有ったら撮影して画像掲示板に写真上げといてください(^^


★次回へ続く
 次回はいよいよ本命、テレコン+プロクサーでマクロ撮影する。

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