ネコマタギ★レンズ研究所

ジャンク屋の箱の中で引き取り手が無いレンズを好んで研究するブログである。

Xi

Xi 28-80mm F4-5.6爆死(^^;;

MINOLTA AF ZOOM Xi 28-80mm F4-5.6


 前回のタイトルが爆死なのは何でだろう?と思った人も居るだろうが、実は本当に爆死するのは今回の記事である(^^; 画質が片ボケというか部分ボケして無茶苦茶なので分解調査する。

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 今更のように気づいたけどこのレンズってマウントが金属なのね。Xi時代のαマウント廉価レンズはプラ製が当然だと思っていたので意外。


★こんなクソは分解じゃああああっ!
 いやバラして調査しても解らないだろうし元に戻ることも無いだろう。これは直す気が無いというより恐らく直すのは不可能だ。カテゴリは修理・改造だが修理ではない。中はきっとモノスゴイつくりなんだろうな…内部に対する興味本位でバラしたいというのが本音だ。


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 まずは定番のゴム剥がしから…がしかし結論を言えばこの行為は全くの無駄であった。これまでのズームレンズとは全く違う構造なのだ。この構造はレンズと言うよりコンパクトカメラの方が近い。


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 テープ1はスイッチでした。ご存じの通りこのレンズはリングがスイッチになっている。これはその接点に当たる。


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 テープ2も接点だった…。


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 テープ3もハズレ…。


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 テープ4もハズレ…。


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 テープ5もハズレ…。


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 最後のテープ6はダブルでハズレ…。結論としてズームリングゴムは外す必要なし。これを外してもズーム・ピント用スイッチ類があるだけで分解とは全く関係無い。これらはそのままで本体は完全に分解できる。


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 前オーナーの夢を叶える。剥がしたが銘板はただの名前入りシールだった。結論としては前からは分解できないという事だ。前オーナーは何故か必死に銘板を剥がそうとしていたが、後述のように前玉ユニットは非分解なので前玉を外すのは不可能だ。クラシックレンズの知識はこの際全く役に立たない。


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 結局このレンズはマウント側からバラすしかない。これが唯一無二のルートなのだ。


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 開けたらどこかのバネが一つ落ちてきた(^^; これもう元に戻すのは諦めた。もともと戻す気もあまり無いのだけど。


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 最も怪しいこのネジを外したが何も起こらないぞ?


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 パワーズームのスイッチもぶっ壊したが裏に仕掛けは無い。ただシールで貼りつけてあるだけ。これも外す必要は無いのだ。


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 と思ったら2つ前の怪しいネジでやはり正解だった。どこかに引っかかっていただけだろう。ごぼっとユニット全体が引き抜けた。


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 フォーカス枠が回したら抜けたがどうやって固定されていたのか分からない??元に戻しても抜けちゃうんだよね。これはトリッキーだな。


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 HB非球面レンズである。見た目死んでいる感じは無いのだが…。


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 うーんやっぱり止め方が判らない。それと気づいたのだが絞りが全開にならない仕様だな。本当はF4ではなくF3.5なのではないか?


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 カムパイプもエンプラ製だ。どのくらい持つのかな?それよりヘリコイドオイルがヤバい。


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 何故かと言うと知らないうちに絞り羽根に油が回っていた(^^; これって設計の手抜きと言うか欠陥だよな。オイルバリアが無いんだもの。使っているうちにいつか必ず油が回るはずだ。絞りの掃除は難しいね。全バラする覚悟でないと不可能に近い。分解せずに綿棒などで根気よく拭けば取れるかもしれないが今は時間が無いしやってられない。


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 何とか元に戻した。


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 がしかし、例の小さなバネはやはり何所に付くのか分からない。あとフォーカス枠が抜けてしまうので止めたいのだがストッパーは無いのか?(^^;


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 まあいいや。それと上でも書いた通りこのレンズの広角側の開放はF3.5らしい。開放でも絞りが開ききらないようだ。レバーのストロークが足りないだけなのか、それとも最初から設計でそうなっているのかは分らない。

 この開放半絞りの差は大きいので無理やり広げてみよう。方法は絞り連動レバーを外してしまうのだ。もちろん自動絞りどころか開放専用になってしまう。がしかしどうせもう元には戻らないレンズだし構わん。当初羽根を取ろうと思ったが金属板でサンドイッチしてあるので面倒そうで止めた。もしかしたら別のレンズでやる事があるかもしれない。連動レバーを外して絞り全開にしてみたら確かに半絞りくらい明るくなったが画質が更に悪化しただけで大して意味は無さそう。作例写真は誤って消してしまった(^^; これで終わりです。


★終わり
 やはり完全には元に戻らなかったか(^^; いずれこのレンズを開放F3.5の絞り無しマニュアルフォーカス専用レンズに改造するか、玉だけ取り出して遊び材料にしたい。次回このレンズをバラす事があったら分解の仕方は判ったので運が良ければメンテぐらいはできると思う。Xiシリーズは皆同じっぽいので他のXiレンズでもバラせるだろう。いい勉強になりました(と思わないとムカつくからな^^)。

 それにしても複合非球面レンズ使用のレンズは謎の不良が多い。筆者は複合非球面レンズそのものに経年問題が出るのではないかと推理したのだが、今日見た限りでは不具合らしきものは確認できなかった。非球面が見えない範囲で変形しているのかな。プラ複合レンズは高々60℃程度で死亡するレンズなのだから短期でこのような不具合が出ても全く不思議はない。新品で買ってはいけないレンズだね。少なくとも筆者は絶対に買わない。

Xi 28-80mm F4-5.6爆死(^^;

MINOLTA AF ZOOM Xi 28-80mm F4-5.6


xi2880
 Xiシリーズの中で最廉価なズームであり、αXiシリーズの標準レンズとして相当な数が出ていると思う。不人気カメラの相棒レンズとあってレンズ名で検索すると売り広告ばかり(^^; 今時使っている奴は見た事が無い。歴戦のαユーザーだって「このレンズはちょっとね…」とドン引きだ。オークションでも誰も欲しがらないので干からびた回転ずし状態である。状態の良いモノが300~500円で売っていても誰も買わないのだから典型的なネコマタギレンズであり我々の出番なのだ。結果を先回りして書けばタイトルの通りなのだが…初の蓑ルタ製レンズ特集がこれだよ(^^;


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 世代違いのα7000に付けても誂えたようによく似合う。尤もこの組み合わせだとAFはエラーが出て動かないのでMFにしないとシャッターが切れないしズーミングも未対応で不可能だ。ペンタックスのような手動ズーム可のレンズではなくモーター駆動オンリーの手抜き仕様だ。それどころかマニュアルフォーカスもパワーフォーカスオンリーである(リング切り替え式)。このレンズ特有の欠点としては「全く寄れない」だ。この当時の標準ズームとしては劣っている最短撮影距離0.8mに加え、それを補うためのマクロ機能も無い。個人的にはマクロ撮影が出来ない標準ズームは実用不可能だと思う。


★現状
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 HOの青箱の中でもう滅茶苦茶当たりまくってコーティングが傷ついていた。それだから100(108)円なのだが。但しガラスに傷は無いのでピントに影響は無い…はず。強入力にならなければ新品と差は無い…はず。


coating_kizu2
 汚れを取ろうとしてガシガシ磨いてみたら余計に酷くなってしまった(^^; コーティング傷じゃなくてコーティング剥がれに昇格(転落)だ。玉に傷は無いようだが、ハッキリ言ってスポットの欠け傷なんかよりもコーティング剥がれの方が状況はヤバい。傷はある程度の大きさまで影響は無いがコーティング剥がれの影響は面の反射なので大きい。コントラストはある程度諦めねばなるまい。

 現時点では焦点距離が50~45㎜辺りに固定されているので開放F4.5の50㎜単焦点レンズだ。最少絞りは α7000でF27まで絞れた。恐らく28㎜の時はF22、80㎜の時はF32まで絞れるのだろう。50㎜レンズは万能と言われるが、実際は寄るでもなし、引くでもなしで中途半端な詰まらないフレームになりやすい。筆者などはマクロ以外は50㎜は使わないのだが、このレンズはマクロ使用をも拒否する最短撮影距離0.8mという鬼畜仕様である。一体何に使えばいいのだろうか?ズームレンズにマクロ機能は必須だと思う。取りあえず今回はこの50㎜F4.5単焦点状態でテストしてみたい。他の焦点距離の方が格段に良い可能性はあるだろうが現状仕方が無い。これがこの個体(17144074)の最後のテストとなったわけだが…。


★遠距離テスト
 焦点距離が短いため遠距離と中距離は併合する。前記の通り現時点に於いては単焦点レンズなので全絞りで試す。パワーフォーカスは端子に給電されないマウントアダプターでは不可能なのでフードを付けてそれを回す事で行なった(^^

=開放(F4.5)=
050f000
 筆者はあまり気にしないが50㎜でありながら周辺光量の低下がかなり目立つ。開放は勿論のこと一段絞っても確認できるくらいだ。この時代の標準系レンズでこんなに周辺光量が低下するのは珍しい。全体的にハロっぽいが新品でこのようなものかは分からない。恐らく当該品だけだろうとは思う。

=開放(F4.5)等倍=
050f045_dbd
 等倍だとこうなる。無限遠のピントに特に問題は感じられない。ただ解像力が高くないのも判る。疵物なので叩きたくは無いがコンデジ程度という表現がピッタリ。うちのL32の方がマシかも(^^;

=1段絞り=
050f001
 「恐らく当該品だけだろうとは思う」と書いたのは御覧のように絞っても改善の兆しが見えないからだ。玉のダメージは想像以上のようだ。これはもう製品としての評価は止めて当該品の不具合調査に切り替えた方が良さそうだ。

=2段絞り=
050f002
 更に絞ると更におかしな現象に気づく。右の電柱の左側がボケ始めているのだ。しかも全体のピントと言うよりは部分的にそこだけボケ始めているのだ。こんな妙な現象は初めて…ではない。どこかで見た事があるではないか。

=3段絞り=
050f003
 更に絞ると悪化してその辺りの画質はもうピンホールカメラ並みになっている。だがしかし、それ以外の部分は普通に解像しているのだ(ホヤホヤだけど)。

=4段絞り=
050f004
 いよいよ像が見えなくなってきた(^^; 左側も画質が低下してきたが右側の比ではない。

=5段絞り=
050f005
 「写ルンです」でもこれほど画質はひどくないな(^^;

=6段絞り=
050f006
 絞る度にガン細胞が周りに広がっている(^^;


 一連の写真でまず目に付くのが異様な部分ボケである。右の方が絞るほどにボケてしまうのだ。何故こんな風に部分的にボケるのか。その前にこのボケは見た事が無いか?そうだ、あのクソレンズ王と同じ部分ボケなのである。何所かが歪んで偏芯しているか、或いは複合非球面レンズが変形しているとも考えられる。偏芯の場合は絞って悪い方に変化するようなことは無いはずだが。


★マクロ(近距離)テスト
 マクロと言っても0.8mまでしか寄れないので近距離撮影といった方が正確だ。

=開放(F4.5)=
050mc000
 マクロになると遠景とは打って変わってまともな描写である。恐らく新品時は遠景もこんな感じだったのだろう(^^

=1段絞り=
050mc001
 1段絞ると全体的に急激に画質が向上する。なんか昔のレンズみたいだ。

=2段絞り=
050mc002
 ピントが深くなっただけで特に変化なし。頭打ち?もう向上しないのか…(^^;

=3段絞り=
050mc003
 そのままピントが深くなっただけ。

=4段絞り=
050mc004
 何ともう画質が急降下している(^^; 回折にしても早過ぎだ。

=5段絞り=
050mc005
 何と開放より画質が低下してしまった(^^; これは当該品の特徴というより製品としての特性だろう。

=6段絞り=
050mc006
 そのまま変化は無い。


 1段目までは気づかないレベルだが、2段絞るとピントが大幅に後ろへ移動してしまうようだ。という事は球面収差も大きいらしい。絞った時に合わせ直そうかと思ったが、そういうレンズなのだという事をハッキリさせるためにそのまま撮影した。通常このレンズをMFで実用する事は無いだろうが、実際撮影する場合は絞ってからピントを合わせ直さねばならない。MFだとしんどいが元々コンテニュアスAFが前提のレンズだろうから文句を言ってもしょうがない。そういう個性のレンズなのだ。各社ともAF時代になってからピント移動はズーム・絞り共に気にしない方針になったのではあるまいか。ニコポンですらAF廉価ズームは派手にピント移動して萎える。


★続く
 不具合品なのに結論を出すのは気が引けるのだが、開放からコントラストは全開であるところ、絞っての頭打ちの早さは以前テストした77Dに通じるものがある。恐らく77Dの仕様はこのレンズなどに合わせて作られているのだろう。以降のデジタル時代のレンズも(もう少し絶対値がマシだが)全てこのようなタイプである。この時代のレンズが現在の潮流を作ったという事になる。ユーザーの夢・設計者の理想であったはずのこの開放ドッカンタイプのレンズだが、実際使ってみると良い写真が撮れそうな気がしないのは何故だろうか?(^^; もちろん筆者がそれに不慣れなせいもあろうが、個人的感想を言わせてもらえば廉価版ハイコントラスト低解像度レンズはやっぱり受け付けない。写真を撮る道具としてではなくレンズで遊ぶには面白いんだけどね。

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